ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #13 「或る夜の出来事」

こんばんは、松田悠士郎です。

 

今回のテキストは、「探偵物語」第13話「或る夜の出来事」です。「松田優作DVDマガジンVol.06」収録の映像を視聴し、「甦れ! 探偵物語」を副読本としています。脚本は丸山昇一さん、監督は加藤彰さんです。

 

ある宝石店に侵入した男、警備員を殴り倒して逃走を図るものの、途中で左手に怪我をしてしまう。

弁護士会から帰る途中の相木マサコは、道端で佇む紳士を見つけて車に乗せる。紳士は左手を負傷している様だった。盗難事件発生の影響で設けられた検問を通過し、マサコは紳士を事務所に入れる。ふたりで酒を飲んでダンスを楽しんでいると、マサコは眠気に襲われてソファで眠ってしまう。

翌朝、マサコが目を覚ますと紳士は上着を残して消えていた。代わりに服部&松本コンビが現れて、昨夜の紳士=高村竜太郎について尋ねる。彼等によれば、高村は世間を騒がす怪盗103号の重要容疑者らしい。ふたりを追い返したものの、高村の事が気になるマサコは工藤に高村探しを頼もうとするが、浮気調査で忙しい工藤は取り合わない。マサコは高村の資料を工藤に押しつけて去る。工藤は聞き流して調査を続けた。

マサコは松本を事務所に呼んで誘惑して、高村の情報を得る。

103号の犯行当時の高村のアリバイを証言した赤木ユリに話を聞くと、自分が高村と会っている時と状況が酷似していた。

 

一方、浮気調査の一環で盗聴したテープを聴いていた工藤は、浮気相手の台詞がマサコの言っていた高村の台詞と同じだと気づく。改めてマサコが置いていった写真と、ダンディに撮らせた浮気相手の写真を見比べると、果たして同一人物だった。工藤はすぐマサコに電話をかけて情報を伝えるが、マサコは逆に高村を罠に嵌めると息巻いた。

マサコは高村が別の女性と会っている現場で張り込み、女性と別れた高村の後をつける。高村は手に入れた故買屋に宝石を売り、そこで夜に「スター・オブ・エメラルド」という宝石を奪うと宣言する。

高村に尾行を気づかれたマサコは、思い切って高村に自らの推理をぶつける。高村はマサコを中華料理屋に連れて行って食事を共にし、再びマサコの事務所へ入る。そこへ丁度工藤から電話が入るが、高村を罠にかけられると自信満々なマサコは工藤をあしらって電話を切ってしまう。

その夜、マサコは高村に注いだ酒の中に睡眠薬を入れる。高村を眠らせて犯行をさせない作戦だったが、少しの隙を見せた間に高村に酒をすり替えられて、マサコ自身が睡眠薬入りの酒を飲んでしまう。既に高村が去った事務所から、マサコが工藤に電話して高村の狙いを教える。

高村は「スター・オブ・エメラルド」が保管されているビルに侵入、金庫を開けて奪うがそこに工藤が現れ、何故かフェンシングで勝負する事に。だがその最中に高村の最大の(?)秘密がバレてしまう。何と、高村はハゲていて、普段はカツラを被っていたのだ。

かくして宝石は無事、高村はいじけてバハマへ帰ってしまった。

 

以上が、今回のストーリーです。

今回は、またしても相木マサコがメインの話で、工藤の出番は少ないです。そんな中での工藤の優しさは、マサコが一時でも思いを寄せた高村に対して向けられます。

高村が奪った宝石をフェンシングの最中に金庫に戻し、ハゲがバレていじける高村には「俺だって下半身無毛症なんだよ」と嘘が本当か判らない事を言って励まします。

また、高村を止めに行ったのはマサコの為でもありますし、そもそも最初は難色を示していた高村探しに、テープがキッカケで本腰を入れだしたのもマサコの為でしょう。この辺りに、工藤のマサコへの感情が滲み出ていると思えます。

 

若干おふざけが過ぎる気もしますが、肩のこらないエンターテインメントとして楽しめる作品です。では今日はこれにて失敬。