ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #48「残されたU/永遠の相棒」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第48話「残されたU/永遠の相棒」を取り上げます。

若菜と衛星制御装置とのシンクロ率を上げるには、フィリップに精神的苦痛を与える事が効果的と気づいた加頭=ユートピアドーパントは、翔太郎を徹底的に痛めつける。フィリップは翔太郎に変身を要求するが、やはり翔太郎はジョーカーメモリを起動できない。

そこへ、タブー・ドーパントが現れてユートピアに攻撃する。だが、変身を解かれて更に攻撃を受けたにも関わらず、加頭は動じない。彼はNEVER(死者蘇生兵士)だった。

加頭は再びユートピアに変身し、若菜と冴子を連れ去った。

 

重傷を負った照井を病院に搬送した翔太郎、フィリップ、亜樹子は海岸で黄昏れていた。

フィリップによれば、ユートピアは人間の希望、願望等の生きる為の感情を吸い取って自分の力にするらしい。もしも照井が精神波攻撃に強い体質でなければもっと酷い状態に陥っていたと言う。

フィリップは、変身を躊躇った翔太郎を責めるが、翔太郎は己の非を認めない。そこで亜樹子は、砂浜に転がるボールを拾ってふたりに放り、先に帰った。

砂浜でキャッチボールしながら語るふたり。どうせ消えるなら若菜を救ってから消えたいと訴えるフィリップに対し、フィリップが消えてしまう事を認めたくない翔太郎。フィリップは、翔太郎の優しさを讃えた上で頼む。

「約束してくれ。たとえひとりになっても、君自身の手でこの風都を守り抜くと」

だが翔太郎は、悔しそうに返す。

「約束なんてできねぇ。俺は、自分に自信が持てないんだ」

そこへ、電話がかかって来る。相手が刃野だと思って電話に出た翔太郎の耳に飛び込んだのは、加頭の声だった。電話を代わったフィリップに、加頭は計画への協力を求めた。若菜は財団所有の天文研究所に居るらしい。すると、突如フィリップが絶叫して苦しみ出す。ユートピアが翔太郎達の仲間の顔を次々と奪って行く光景を見せられたのだ。そしてユートピアは、鳴海探偵事務所に入った。亜樹子を案じたフィリップと翔太郎が事務所へ急行するが時既に遅く、亜樹子も顔を奪われてしまっていた。亜樹子を抱えて慟哭するフィリップにそっと謝ると、翔太郎は荘吉の形見の帽子を被って事務所を出て行った。

 

琉兵衛が消え、フィリップにも見捨てられた夢を見た若菜が目覚めると、側に冴子が居た。冴子が若菜に加頭の計画を説明すると、そこへ加頭が現れる。

逆転のチャンスを与える約束を果たしたいと言う加頭に冴子が動機を尋ねると、加頭は真顔で答えた。

「好きだからですよ」

今までのその手の言動を本気と捉えていなかった冴子は心底驚く。加頭は何度も裏切った冴子を許すと告げ、改めてタブーメモリを差し出す。それでも加頭の思いを拒絶する冴子に、加頭が詰め寄る。「どうして判ってくれないのですか?」すると冴子は「貴方が園咲を舐めてるからよ」と答えるなりタブーメモリを奪い、若菜に逃げる様に促す。

外でユートピアと戦うタブーだが力の差は歴然としていて、冴子は敗れて倒れ伏す。死ぬ間際に己の行為を悔いて絶命した冴子の目を、翔太郎が閉じた。

 

逃走を図る若菜を捕らえたユートピアは、制御装置に若菜を接続した。そこに、翔太郎が現れた。

「邪魔しに来たぜ」

翔太郎はユートピアの攻撃をかわしながら接近、荘吉の形見でユートピアの拳を受け止める。と同時にガジェット総動員でユートピアを拘束し、若菜を救出して装置を破壊した。

若菜を連れて外へ逃れた翔太郎の元へ、エクストリームメモリでフィリップが駆けつけた。翔太郎を讃えるフィリップに、翔太郎は答える。

「約束を守っただけだよ」

破壊を逃れたユートピアに向かって、翔太郎とフィリップは最後の変身! サイクロンジョーカーエクストリームでユートピアを圧倒、ユートピアはWの感情を吸い取ろうとするが、余りの感情の大きさにオーバーフローを起こしてしまう。Wはプリズムメモリをベルトに装填、ダブルプリズムエクストリームでメモリブレイクを果たす。加頭は消滅、陰で見ていたネオンはガイアメモリからの撤退を決めて立ち去る。

いよいよ別れの時、エクストリームメモリを外そうとするフィリップの手を、翔太郎が止める。

「俺に、やらせてくれ」

フィリップは、消滅する事を若菜には秘密にしてくれと頼み、「僕達は永遠に相棒だ、この地球がなくならない限り」と告げる。涙を堪えて翔太郎がエクストリームメモリを閉じ、フィリップは消えた。

 

フィリップの居なくなった事務所で翔太郎は思いを巡らし、退院した照井は痛々しい姿でソファに腰掛け、亜樹子はミックを抱く。

翔太郎がフィリップからのプレゼントを開けると、中にはかつて荘吉が使っていたロストドライバーと共に、フィリップが持っていた本が入っていた。殆ど白紙のその本の中の1ページに、フィリップからのメッセージが残されていた。

「僕の好きだった街をよろしく 仮面ライダー 左翔太郎! 君の相棒より」

 

以上が今回のストーリーです。

前回、その優しさが仇になって照井に瀕死の重傷を負わせてしまった翔太郎ですが、それでも尚、フィリップが消滅してしまう事実を認められずに苦しみます。しかし、街の仲間や亜樹子がユートピアの犠牲になり、遂に決心します。「お前にはまだ早い」と言われ続けた荘吉の帽子を被って単身ユートピアに立ち向かう翔太郎は、ハーフボイルドからひと皮剥けた印象を与えました。そして、最後の変身を遂げて相棒の願いを叶えました。最後に泣き顔になってしまった所はまだハーフボイルド味が残っていましたが。

 

最大の敵を倒した仮面ライダーですが、もう少しだけエピソードは続きます。次回、遂に最終回! では、今日はこれにて失敬。