ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #44 「Oの連鎖/シュラウドの告白」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第44話「Oの連鎖/シュラウドの告白」を取り上げます。

 

老化した翔太郎の影響で身体が言う事を聞かなくなったファングジョーカーを圧倒したオールドは、勝ち誇った様に言い放つ。

「人は自分の幸せと同じくらい他人の不幸を願ってる」

危ない所へエクストリームメモリが飛び込んで来て、ファングジョーカーは難を逃れる。駆けつけた亜樹子と良枝の前で、オールドは今後も「老けさせ屋」を続けて恨みを持つ人の依頼を受けると言い残して姿を消す。その「恨み」という言葉に、良枝は何か思う所があるらしかった。

 

プールバーで冴子は照井を嘲笑う。「貴方の復讐は終わらない」

照井は真相を糺す為にシュラウドの元へ行った。何故自分を選んだのか訊く照井に、シュラウドは照井がオールドやテラーの様な精神干渉タイプのドーパントの攻撃に耐えられる特殊体質の持ち主だと言い、井坂にウェザーメモリを渡した事も認めたシュラウドに、照井はエンジンブレードで斬りつけるが、シュラウドはトリガーマグナムに酷似した銃で反撃する。照井はアクセルに変身するが、シュラウドは銃にボムメモリを挿してマキシマムドライブを放つ。倒れるアクセルに、シュラウドは言った。アクセルメモリとベルトは照井を鍛える為に渡したのだと。その上で、フィリップと共に究極のW、サイクロンアクセルエクストリームとなって琉兵衛を倒そうと画策したのだ。その為には現在のフィリップの相棒でえる翔太郎は邪魔、そこで後藤親子を餌にオールド・ドーパントを翔太郎にぶつけ、使い物にならなくしようとしたのだ。

照井はトライアルを使ってボムをかわし、シュラウドに蹴りを放つ。だがその脚は寸前で止まった。シュラウドは銃をアクセルにポイントしたまま、もっと憎めと照井を炊きつけようとする。そこへ、クレイドール=若菜が割って入った。シュラウドに「若菜」と呼ばれた途端、若菜は怒りを滲ませた顔で言い放った。

「気安く呼ばないで!ミュージアムを裏切り、私達家族を捨てた癖に!」

若菜の口から飛び出した「家族」という言葉に動揺する照井だったが、シュラウドを撃とうとするクレイドールを止める。興醒めした若菜は変身を解いて照井に、シュラウドの正体は自分達の母親、園咲文音だと明かす。それを認めた上でシュラウドは、「照井竜、また来なさい」と告げて姿を消す。次いで若菜も立ち去り、残された照井が目にしたのは、家族の墓前に供えられていた花と同じ花だった。

 

園咲邸で、琉兵衛は加頭に報告書を渡し、見返りに小切手を貰う。加頭が「ミュージアム」の業績アップを評価すれば、琉兵衛は「財団X」の支援に感謝の意を述べる。立ち去ろうとする加頭に毒づく若菜に、加頭は照井がシュラウドの事を探り当てたと告げる。

 

事務所でゆったり茶を啜る翔太郎にガッカリする亜樹子。その傍らでフィリップは、シュラウドが言った「究極のW」について考えていた。そこへ、老化したみゆがもうひとり老婆を連れて来た。その老婆は何と久美だった。どうやら、良枝が「老けさせ屋」の相馬に頼んだらしい。ふたりして泣くみゆと久美を、翔太郎が優しく抱いて慰めた。その目に、強い光が宿る。

児童劇団    風の子」では、良枝と光子が揉めていた。照井と共に入って来た亜樹子の仲裁を拒む良枝に、照井が「あんたは自分の憎しみをぶつけただけだ」と言い放つ。そこに、劇団の代表が割って入って許しを乞うた。

「親の子供への愛は、理屈ではないんです」

代表の言葉に打たれた良枝と光子は、変わり果てた我が子を抱き締めた。

改めてシュラウドの元を訪れた照井は、用件を訊かれて宣言した。

「俺はWにはならない。貴方を許しに来た」

「テラーに打ち勝てるのは強い憎しみ」と言い張るシュラウドに、照井は諭す様に言った。

「貴方を復讐鬼に変えたもの、それは愛だ」

その言葉に戸惑うシュラウドは、かつて琉兵衛がフィリップ=来人を道具として扱ったと言った。その琉兵衛に、シュラウド=文音はテラーの能力で全身に大火傷を負わされ、園咲家を去る羽目に陥っていたのだ。

いつの間にか来ていたフィリップを見てから、照井はシュラウドに告げた。

「今から証明してやる。オールド・ドーパントを倒し、闇の力に打ち勝つのが憎しみなんかじゃないという事を、俺達3人で」

 

工場の敷地内で、翔太郎と亜樹子が相馬と対峙していた。

翔太郎の杖攻撃に苦戦した相馬がオールド・ドーパントに変身して波動を送ろうとした所へ、フィリップと照井が到着した。3人は変身してオールドと戦う。まずアクセルがオールドを圧倒し、反撃の波動を特殊体質を活かして受け切る。そこへエクストリームとなったWかプリズムビッカーで斬りつける。仕上げはトライアルでのマキシマムドライブでのメモリブレイク。相馬は倒れ、翔太郎は元に戻った。

顛末を見届けて立ち去ろうとするシュラウドに、照井が花の事を尋ねる。シュラウドは、井坂があそこまでの怪物だとは予想しておらず、したがって照井の家族か犠牲になる事は想定外だったと言った。

「もう貴方は誰も傷つける必要は無い。俺達が園咲琉兵衛を倒す、仮面ライダーとして」

照井の言葉を受けて立ち去るシュラウド。翔太郎に促されて後を追うフィリップだが、既にシュラウドの姿は無かった。

 

加頭は、「財団X」からの使者に次世代型ガイアメモリを渡してから、傍らの冴子に言った。

「貴方のお母様、ゲームを下りたみたいですよ」

 

平和が訪れた「鳴海探偵事務所」では、何故か亜樹子が照井とイチャついていた。

 

以上が、今回のストーリーです。

前回に引き続き、老化してまともに動けない翔太郎ですが、今回は老化させられて泣くみゆと久美に対してその優しさを発揮します。ふたりをしっかりと抱きしめながら怒りの炎を目に宿すその姿は正にハートボイルドを体現していると言えるでしょう。

また、照井も今までの事を仕組んだシュラウドに最初は怒りをぶつけますが、最終的には許します。これもまた、ハートボイルド的だと私は思います。

 

いよいよ物語も佳境です。では、今日はこれにて失敬。