ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? 最終回「Eにさよなら/この街に正義の花束を」

こんばんは、松田悠士郎です。この企画もいよいよラスト、「仮面ライダーW」最終回「Eにさよなら/この街に正義の花束を」を取り上げます。

 

サンタちゃんが店長を務めるペットショップで、翔太郎は店員とペットフードの事で揉める。サンタちゃんに取りなされて店を出る翔太郎を、少年が観察していた。

 

フィリップが消えてから一年が経ち、破壊された風都タワーも再建されていた。

翔太郎達に助けられた後、病院に引き取られてから眠り続けていた若菜は、目覚めたものの周囲に心を開こうとはせず、見舞いに訪れた翔太郎にも「命の恩人のつもり? それたも来人の差し金?」と素っ気ない。フィリップから消滅について口止めされている翔太郎は、もどかしい気持ちで若菜を見つめるのみだった。若菜を救い切れていない事に責任を感じる翔太郎、そんな彼を上空から見つめる、何か。

 

自分を尾行していた少年に気づいていた翔太郎は、彼を事務所に入れる。少年の名は青山晶、小学6年生。依頼は、3日前から行方不明の姉・唯の捜索。姉が居ないと何もできないと胸を張って言う晶に、ハードボイルド気取りで説教する翔太郎だが、晶はしたり顔でハードボイルドを否定する。頭に来たのか、翔太郎は晶を外へ連れ出して調査に付き合わせた。

クイーン&エリザベス曰く、唯が通う嵐が丘高校は「EXE」という悪いグループと関わりがあるらしい。ウォッチャマンによれば、EXEはガイアメモリを売買する若者のグループで、ボスは「エナジー」と呼ばれているそうだ。エナジーがメモリの名前だと察した翔太郎は、いつもの癖でフィリップに電話をかけようとするが、エリザベスに突っ込まれて我に返る。

翔太郎と晶は、EXEが溜まり場にしている廃工場を訪れた。するとメンバーらしき若い男が現れる。翔太郎が「お仕置きだ」と呟いて近づこうとすると、別の男が唯を拘束して連れて来た。

「お仕置きするならコイツからだろ?」

彼等、最初にメモリの売買を始めたのは唯だと言った。晶は否定するが、唯は認めて晶に謝る。男達は「偉大なカリスマ」と呼ぶリーダーの存在を示唆しながら、自分達を「ミュージアムを継ぐ者」と称した。そのカリスマを迎える為に、彼等は残りのメモリをかき集めると宣言した。

唯を連れて来た男が、アノマロカリスドーパントに変身した。翔太郎は晶を隠れさせてロストドライバーを装着、仮面ライダージョーカーに変身してアノマロカリスを迎え撃つ。マキシマムドライブを発動、ライダーパンチでアノマロカリスを倒す。だがそれを見ていた晶は全てに背を向けて逃げようとする。翔太郎が追いかけて捕まえると、晶は「僕は貴方ほど強くない」と拒絶する。翔太郎は、穏やかな顔で晶に告げる。

「俺だって強くなんかねぇ、無理矢理踏ん張ってるだけだ」

晶を先に事務所に帰し、翔太郎は何処かへ行った。

 

風都署に現れた若菜は、署内で変身せずにドーパントの能力を使って見せた。照井も、駆けつけた翔太郎もその力に驚く。

屋上へ逃げた若菜を追った照井は、再起動とガイアインパクトを望む若菜に対してアクセルに変身して襲いかかる。だが、寸前で翔太郎が若菜を庇う。ここで翔太郎が口を滑らせ、既にフィリップが消滅している事を若菜に知られてしまう。ショックを受けた若菜は、姿を消した。

 

事務所に戻った翔太郎の耳に、フィリップの声が飛び込んだ。喜び勇んで中に入る翔太郎だが、そこには亜樹子と晶しか居ない。実は亜樹子がフロッグポッドにフィリップの声が残っているのを見つけて再生していたのだ。翔太郎は意気消沈し、亜樹子の謝罪も耳に入らぬままリボルギャリーへ入ってしまう。そんな翔太郎を「相棒が居なくなってメソメソしてる」と嘲笑う晶に、亜樹子が真実を告げる。驚く晶の携帯電話に、EXEからのメールが入る。

 

若菜はシュラウドに会って、再起動とガイアインパクトにたいて尋ねる。シュラウドは「答えは地球の本棚にある」と教える。素直に答えたシュラウドに疑念を抱く若菜に対してシュラウドは言った。

「だって、家族ですもの」

若菜にもたれかかる様に、シュラウドは息を引き取った。

 

EXEのアジトに来た晶は、虚勢を張るがあえなくメンバーに捕まる。残りのメモリの在処を訊かれた唯は、晶が持つバッグの縫い目をひきさき、中から「オーシャン」メモリを取り出してメンバーに渡す。メンバーが歓喜する間に、結は晶を連れて逃走を試みるがすぐに取り囲まれてしまう。バッグを振り回して応戦する晶だが、多勢に無勢だ。するとそこへ、ハードボイルダーに乗った翔太郎が登場、コックローチ・ドーパントに変身したメンバーを蹴散らす。翔太郎が来た事を不思議がる晶に、亜樹子が靴を指差してみせた。念の為にと、晶の靴に発信器を付けていたのだ。ひとりで踏ん張った晶を讃えた翔太郎は、ジョーカーに変身してコックローチを倒す。後から現れた照井と共に、他のメンバーの変身を阻止した。

 

若菜は、地球の本棚に入って閲覧を始めた。

 

無事に救出した晶と唯を伴って歩く亜樹子と翔太郎。その前に以前翔太郎と揉めたペットショップの店員が立ちはだかった。店員は「エナジー」メモリを取り出す。この店員こそEXEの真のリーダーだった。翔太郎達の目の前で、店員はエナジードーパントに変身した。晶達を逃がす翔太郎の背中にエナジーの一撃が命中、翔太郎は地に倒れ伏した。

 

閲覧を完了して目を開けた若菜。その前には、再建途中の風都タワーがあった。

 

死んだ、と思われた翔太郎が目を開けた。その背中に、エクストリームメモリが貼り付いていた。翔太郎から離れたエクストリームメモリから、フィリップが姿を現した。

若菜は、自分の身体をフィリップに与えたのだ。

人類の未来の為に地球を変えるという園咲の使命を、若菜は誰よりも優しいフィリップに託したのだ。

若菜を迎えに来る様に現れた琉兵衛、シュラウド、冴子。フィリップが駆け寄ろうとするが、琉兵衛とシュラウドに止められる。

「私達は地球に選ばれた家族だからね、この星の中からお前を見守っているよ」

琉兵衛のこの言葉を最後に、若菜達はフィリップの前から消えた。

 

フィリップはおよそ一年かけて身体を復元しながら、翔太郎を見守っていたのだった。

ハーフボイルド丸出しで喜ぶ翔太郎に、それを揶揄する亜樹子。以前の鳴海探偵事務所の光景が戻った。フィリップは、既に検索を済ませた晶の事を褒め讃える。すると、すっかり蚊帳の外に置かれたエナジーが怒り狂い、再び変身した。翔太郎とフィリップは久々にダブルドライバーを装着した。

「サイクロン! ジョーカー!」

Wがエナジーを様々なスタイルで圧倒、最後はジョーカーエクストリームでメモリブレイクを果たした。

 

以上が今回のストーリーです。

ふたりでひとりの仮面ライダーの物語、遂に最終回を迎えました。

フィリップを失った翔太郎は、寂しさと孤独を押し殺しながら探偵と仮面ライダーを続けていた。姉に甘えっ放しの晶にハードボイルドを気取って説教するものの、フィリップの声を聴いて動揺したり、若菜の力によって復活したフィリップとの再会に大声を上げて歓喜したりと、相変わらずのハーフボイルドっぷりを見せています。

しかし、フィリップに託された若菜の事を常に気にかけ、身を挺してアクセルの攻撃から守ってみせる所からは、翔太郎持ち前の優しさがよく見えました。翔太郎は、未だ未完成ながらも充分に「ハートボイルド」を体現していると言えるのではないでしょうか?

 

余談ですが、最終回のサブタイトルの後半部分は「傷だらけの天使」の、冒頭に主人公と揉めた人物が最後に主人公を襲う展開は「探偵物語」最終回「ダウンタウン・ブルース」のそれぞれオマージュだと個人的に思っています。

 

さて、当初の想定よりもかなり長い期間になってしまいましたが、「仮面ライダーW」のハートボイルド的考察は、以上をもって終了です。読んでくださった方々、ありがとうございました。「W」の物語は、正当続編漫画「風都探偵」(アニメ化も決まりました)に続きますが、このブログは今回でピリオドです。ではこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #48「残されたU/永遠の相棒」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第48話「残されたU/永遠の相棒」を取り上げます。

若菜と衛星制御装置とのシンクロ率を上げるには、フィリップに精神的苦痛を与える事が効果的と気づいた加頭=ユートピアドーパントは、翔太郎を徹底的に痛めつける。フィリップは翔太郎に変身を要求するが、やはり翔太郎はジョーカーメモリを起動できない。

そこへ、タブー・ドーパントが現れてユートピアに攻撃する。だが、変身を解かれて更に攻撃を受けたにも関わらず、加頭は動じない。彼はNEVER(死者蘇生兵士)だった。

加頭は再びユートピアに変身し、若菜と冴子を連れ去った。

 

重傷を負った照井を病院に搬送した翔太郎、フィリップ、亜樹子は海岸で黄昏れていた。

フィリップによれば、ユートピアは人間の希望、願望等の生きる為の感情を吸い取って自分の力にするらしい。もしも照井が精神波攻撃に強い体質でなければもっと酷い状態に陥っていたと言う。

フィリップは、変身を躊躇った翔太郎を責めるが、翔太郎は己の非を認めない。そこで亜樹子は、砂浜に転がるボールを拾ってふたりに放り、先に帰った。

砂浜でキャッチボールしながら語るふたり。どうせ消えるなら若菜を救ってから消えたいと訴えるフィリップに対し、フィリップが消えてしまう事を認めたくない翔太郎。フィリップは、翔太郎の優しさを讃えた上で頼む。

「約束してくれ。たとえひとりになっても、君自身の手でこの風都を守り抜くと」

だが翔太郎は、悔しそうに返す。

「約束なんてできねぇ。俺は、自分に自信が持てないんだ」

そこへ、電話がかかって来る。相手が刃野だと思って電話に出た翔太郎の耳に飛び込んだのは、加頭の声だった。電話を代わったフィリップに、加頭は計画への協力を求めた。若菜は財団所有の天文研究所に居るらしい。すると、突如フィリップが絶叫して苦しみ出す。ユートピアが翔太郎達の仲間の顔を次々と奪って行く光景を見せられたのだ。そしてユートピアは、鳴海探偵事務所に入った。亜樹子を案じたフィリップと翔太郎が事務所へ急行するが時既に遅く、亜樹子も顔を奪われてしまっていた。亜樹子を抱えて慟哭するフィリップにそっと謝ると、翔太郎は荘吉の形見の帽子を被って事務所を出て行った。

 

琉兵衛が消え、フィリップにも見捨てられた夢を見た若菜が目覚めると、側に冴子が居た。冴子が若菜に加頭の計画を説明すると、そこへ加頭が現れる。

逆転のチャンスを与える約束を果たしたいと言う加頭に冴子が動機を尋ねると、加頭は真顔で答えた。

「好きだからですよ」

今までのその手の言動を本気と捉えていなかった冴子は心底驚く。加頭は何度も裏切った冴子を許すと告げ、改めてタブーメモリを差し出す。それでも加頭の思いを拒絶する冴子に、加頭が詰め寄る。「どうして判ってくれないのですか?」すると冴子は「貴方が園咲を舐めてるからよ」と答えるなりタブーメモリを奪い、若菜に逃げる様に促す。

外でユートピアと戦うタブーだが力の差は歴然としていて、冴子は敗れて倒れ伏す。死ぬ間際に己の行為を悔いて絶命した冴子の目を、翔太郎が閉じた。

 

逃走を図る若菜を捕らえたユートピアは、制御装置に若菜を接続した。そこに、翔太郎が現れた。

「邪魔しに来たぜ」

翔太郎はユートピアの攻撃をかわしながら接近、荘吉の形見でユートピアの拳を受け止める。と同時にガジェット総動員でユートピアを拘束し、若菜を救出して装置を破壊した。

若菜を連れて外へ逃れた翔太郎の元へ、エクストリームメモリでフィリップが駆けつけた。翔太郎を讃えるフィリップに、翔太郎は答える。

「約束を守っただけだよ」

破壊を逃れたユートピアに向かって、翔太郎とフィリップは最後の変身! サイクロンジョーカーエクストリームでユートピアを圧倒、ユートピアはWの感情を吸い取ろうとするが、余りの感情の大きさにオーバーフローを起こしてしまう。Wはプリズムメモリをベルトに装填、ダブルプリズムエクストリームでメモリブレイクを果たす。加頭は消滅、陰で見ていたネオンはガイアメモリからの撤退を決めて立ち去る。

いよいよ別れの時、エクストリームメモリを外そうとするフィリップの手を、翔太郎が止める。

「俺に、やらせてくれ」

フィリップは、消滅する事を若菜には秘密にしてくれと頼み、「僕達は永遠に相棒だ、この地球がなくならない限り」と告げる。涙を堪えて翔太郎がエクストリームメモリを閉じ、フィリップは消えた。

 

フィリップの居なくなった事務所で翔太郎は思いを巡らし、退院した照井は痛々しい姿でソファに腰掛け、亜樹子はミックを抱く。

翔太郎がフィリップからのプレゼントを開けると、中にはかつて荘吉が使っていたロストドライバーと共に、フィリップが持っていた本が入っていた。殆ど白紙のその本の中の1ページに、フィリップからのメッセージが残されていた。

「僕の好きだった街をよろしく 仮面ライダー 左翔太郎! 君の相棒より」

 

以上が今回のストーリーです。

前回、その優しさが仇になって照井に瀕死の重傷を負わせてしまった翔太郎ですが、それでも尚、フィリップが消滅してしまう事実を認められずに苦しみます。しかし、街の仲間や亜樹子がユートピアの犠牲になり、遂に決心します。「お前にはまだ早い」と言われ続けた荘吉の帽子を被って単身ユートピアに立ち向かう翔太郎は、ハーフボイルドからひと皮剥けた印象を与えました。そして、最後の変身を遂げて相棒の願いを叶えました。最後に泣き顔になってしまった所はまだハーフボイルド味が残っていましたが。

 

最大の敵を倒した仮面ライダーですが、もう少しだけエピソードは続きます。次回、遂に最終回! では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #47「残されたU/フィリップからの依頼」

若菜の声を聴いて目を覚ましたフィリップの前に、姿を消していたミックがいた。翔太郎が見つけ出したのだ。喜んでミックを抱いたフィリップの右手が一瞬、消えかかる。慌てて右手を隠したフィリップが、翔太郎に若菜を探し出して欲しいと頼んだ。翔太郎ほ引き受けるが、その時フィリップが意味深な言葉を吐く。

「どんな辛い事が待っていてもかい?」

 

『CHARMING RAVEN』という企業の製薬工場、内部はガイアメモリ製造工場に改装されつつあった。

「財団X」局長ネオン・ウルスランドは加頭に、ミュージアムを投資対象から外すと告げるが、加頭はガイアインパクトは継続できると反論する。その根拠となる切り札こそ若菜だった。

翔太郎は若菜捜索の端緒として、冴子の行方を探した。ウォッチャマンからここ数日サーキットで走っているという情報を得て、照井、フィリップ、亜樹子と共にサーキットへ赴く。

コース上でフィリップが冴子に若菜の行方を尋ねるが、冴子も当然知らない。そこへ加頭が現れて冴子に告げる。

「貴方を迎えに来ました」

反発する冴子の前で、加頭は園咲家の人間しか扱えない筈のゴールドメモリを取り出す。加頭曰く、適合率98%らしい。そのメモリ=ユートピアを発動した瞬間、加頭以外の全員の身体が宙に浮き、吹き飛ばされた。照井がアクセルに変身して立ち向かうが、エンジンブレードがユートピアドーパントの身体に全く届かない。翔太郎はフィリップに変身を促すがフィリップは若菜救出まで取っておかなければならないと拒否する。次にWに変身したら、フィリップの身体は消滅してしまうと言うのだ。翔太郎と亜樹子が動揺する間にアクセルは敗れ、冴子はユートピアに拉致された。

 

若菜の居る『CHARMING RAVEN』に連れて来られた冴子の前で、加頭はネオンにガイアインパクトについて説明する。それは、メモリ適性の無い人間を瞬時に消滅させる、人類選別の儀式だった。しかも加頭は若菜をデータ化して財団の人工衛星にインストールして、地球規模でそれを行うつもりだった。話を聞いたネオンはミュージアムへの投資再開の要請を検討すると告げて去った。見送った加頭は、冴子にタブーメモリを差し出す。

 

事務所では、フィリップが若菜の居場所を検索していた。キーワードは「ミュージアム」「財団X」「施設」 だが、関連施設は風都内に大小27箇所も存在した。照井は虱潰しに当たろうと提案するが、ここでフィリップが、サーキットで冴子が言った言葉を思い出した。

「今頃きっとお父さんもお墓で泣いてるわ」

父・琉兵衛は埋葬されていないのに何故「お墓」なのか? 

閃いたフィリップが、キーワードを追加した。

「墓」

導き出された答は「CHARMING RAVEN」。社名の一部に「GRAVE」、つまり「墓」という単語が含まれている為だ。あの言葉は冴子からのヒントだったのだ。早速若菜を助けに行こうとするフィリップだが、翔太郎はフィリップが消える事を諦め切れていなかった。

事務所を飛び出した翔太郎はシュラウドを呼び出す。現れたシュラウドはフィリップの消滅を認めたが、されでも納得行かない翔太郎は「フィリップを救う事はオヤジさんから頼まれた最もデッカイ依頼だ!」と喚く。するとシュラウドが、鳴海荘吉にフィリップ救出を依頼したのは自分だと告白し、翔太郎にフィリップが笑顔で消えられる様にしてくれと頼む。拒絶する翔太郎を残して、シュラウドは姿を消す。

 

何の解決策も得られないまま、翔太郎が事務所に戻ると、そこでは「フィリップ海外留学おめでとうパーティー」が催され、照井、刃野、真倉、ウォッチャマン、サンタちゃん、クイーン&エリザベスとちう面々が集まっていた。フィリップが皆にプレゼントを配っている。どうやら亜樹子の差し金らしい。亜樹子を問い詰める翔太郎に、亜樹子はフィリップの思い出作りだと説明し、戦うのは明日にしてと頼む。

亜樹子に促されてフィリップが挨拶する中、翔太郎はやり切れない思いでデスクに戻る。するとフィリップが、翔太郎にもプレゼントを持って来た。だが翔太郎は背中を向けたまま一顧だにしなかった。

 

翌朝、翔太郎、フィリップ、照井、亜樹子は「CHARMING RAVEN」に乗り込み、若菜を見つける。その若菜は、頭部に検索機を付けられていた。その検索機は加頭の持つ端末と連動していた。ユートピアな変身する加頭に対して、変身さようとするフィリップだが、肝心の翔太郎が変身を躊躇してしまう。その間にユートピアによって吹き飛ばされてしまう。ユートピアは若菜を連れ去るが、アクセルが止めに入る。しかしユートピアはアクセルを問題にしない。フィリップは尚も翔太郎に変身を要求するが、やはり翔太郎は躊躇ってしまう。

ユートピアはトライアルをも圧倒、照井の気力を奪ってアクセルに戻した上で業火に包む。その様子を見たフィリップがショックを受けて慟哭すると、若菜の身体が光を放ち始めた。それまで低かった若菜の能力の数値が上昇した。フィリップが精神的に苦痛を感じると若菜の力が増大する事に気づいた加頭は、変身せずに戦う翔太郎を捕らえ、こう言った。

「ちょっと死んでみてください」

 

以上が、今回のストーリーです。

今回ばかりは、翔太郎の優しさが徹底的に裏目に出ます。

次に変身すると身体が消滅してしまうフィリップを気遣う余りWへの変身を躊躇してしまい、結果またしても照井に重傷を負わせてしまいます。更には、加頭の望む結果にも近づく事になり、正に絶体絶命です。このままハーフボイルドのまま終わってしまうのでしょうか? それとも、見事なハートボイルドに昇華するのでしょうか? では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #46「Kが求めたもの/最後の晩餐」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第46話「Kが求めたもの/最後の晩餐」を取り上げます。

 

フィリップ=園咲来人は12年前に死亡し、現在の彼はデータの塊だと言う。認めたくないフィリップは翔太郎に変身する事を要求し、翔太郎は半ばヤケクソで変身、エクストリームになるがテラーに一蹴される。その一方でアクセル=照井もテラー分離体によって重傷を負わされる。恐怖に慄く翔太郎を尻目に琉兵衛は響子からイーヴィルテイルの箱を回収、若菜はフィリップを連れて共に姿を消した。

 

加頭が、冴子に琉兵衛からの招待状を手渡す。琉兵衛の狙いが判らない冴子に加頭が言う。

「勝利宣言ではありませんか?」

 

事務所では相変わらず翔太郎が恐怖に慄き、亜樹子は照井の看病をする。翔太郎の怯えっぷりは、祭りの帰りに事務所に立ち寄った刃野と真倉も驚く程だった。その傍らで、響子は自責の念に駆られていた。

 

園咲邸で目覚めたフィリップが食堂へ行くと、そこには琉兵衛と若菜の他に、冴子とシュラウド=文音の姿もあった。園咲家の全員が揃った所で、琉兵衛が思い出話を始める。応じた若菜が「暗い井戸が怖かった」と告白する。それを聞いた琉兵衛は若菜を労いつつ、イーヴィルテイルの箱を開ける。そんな中、園咲邸に響子が侵入していた。

話の途中でフィリップが、全員揃ったのだから家族同士での争いを止めるべきだと進言する。しかし冴子に「死人は黙ってなさい」と一蹴される。「貴方も死人みたいなものでしょう?」と若菜に揶揄されて激昂さた冴子はナスカに変身、若菜もクレイドールに変身して応戦する。それを横目に、シュラウドは食堂を出る。引き止めるフィリップに「貴方の家族は左翔太郎。切り札は左翔太郎」という言葉を残して。

 

クレイドールはナスカを圧倒し、エクストリーム化してメモリブレイクする。ナスカを失った冴子は逃走した。

翔太郎のスタッグフォンに電話がかかるが、それすらも恐怖に支配された翔太郎は拒否する。仕方なく亜樹子が代わりに電話に出た。相手はフィリップだった。亜樹子は無理矢理翔太郎に話をさせる。だがフィリップから出たのは、別れの言葉だった。しかし、その後にフィリップは意味深な言葉を残す。

「僕は消えない。君に悪魔と相乗りする勇気がある限り」

電話を終えたフィリップは、若菜に連れて行かれた。一方の翔太郎は亜樹子に責められるが、立ち直る事ができない。そこへ、園咲邸から響子が戻って来た。イーヴィルテイルの箱の中身を持って。その正体を見た翔太郎の目つきが、少し変化した。

 

園咲邸では、クレイドールがイーヴィルテイルの箱の前に居た。その真下、かつて来人が落ちた井戸の傍らでは琉兵衛がフィリップに井戸の秘密について話して聞かせていた。今までに琉兵衛は風都の住人達をドーパントにして得たデータを井戸の制御装置に入力していた。つまり、人間を実験体にしていたのだ。その膨大なデータを若菜に注ぎ込む事によって、若菜は生きたガイアメモリ製造機になると言う。そしてフィリップはその制御プログラムになると琉兵衛は告げ、フィリップを井戸へ突き落とす。フィリップの身体が分解され、井戸の中へ融けた。クレイドールはエクストリームの光を受け、園咲邸から立ち上がる光を門前から冴子が見ていた。

エクストリームの光を受け続けるクレイドールとそれを見守る琉兵衛の前に、翔太郎と亜樹子が現れる。それでも余裕の琉兵衛に、翔太郎はイーヴィルテイルの中身を見せる。それは、琉兵衛達家族の名前が記された刷毛だった。驚いた琉兵衛が箱を開けると、中身は空だった。焦った琉兵衛が口走る。「返せ! 私の家族を」

琉兵衛は自分が変わって行くのを恐れていた、だから幸せだった頃の象徴である家族名前入りの魔除けを最後の鍵にした、と翔太郎は推論を述べた。怒る琉兵衛がテラーに変身する前で、翔太郎はエクストリームの光を見てフィリップの言葉を思い出し、ドライバーにジョーカーメモリを挿す。途端にエクストリームが苦しみ出し、翔太郎のドライバーにサイクロンメモリか装填された。サイクロンジョーカーに変身し、フィリップの精神が戻って来た。これがシュラウドの残した最後の逆襲策だったのだ。フィリップという制御プログラムを失ったクレイドールはバグを起こした。

Wとテラーが戦う最中、リボルギャリーに乗ってアクセルが登場、アクセルガンナーでテラー分離体を攻撃する。分離体にガンナーAが破壊されるとすぐにアクセルタービュラーに換装して尚も戦う。

エクストリームメモリがクレイドールからフィリップの肉体データを取り戻し、Wはエクストリーム化してテラーを圧倒する。アクセルが分離体を倒し、Wがテラーのメモリブレイクを果たす。

分離体が衝突した園咲邸は炎上するが、歩み寄ろうとするフィリップを翔太郎が止める。悔恨の表情でフィリップが言う。

「やっと悪魔のメモリから皆を引き離せたのに」

燃え盛る邸内で琉兵衛は若菜の幻影を見る。そして、家族の思い出と共に踊った。高笑いを残して。

炎に包まれる屋敷を見て、冴子は門前で崩れ落ちた。その後ろに佇むシュラウドの心中は計れない。

 

園咲邸炎上で終わったと思われた事件は、まだ続いていた。加頭が、園咲邸から若菜を回収していたのだ。

 

以上が今回のストーリーです。

前回に引き続き、テラーの恐怖に怯える翔太郎ですが、亜樹子やフィリップのおかげで恐怖を乗り越えました。そして、琉兵衛の正体を知ってショックを受けていた響子に、ほんの少しの推測を加えた事実を伝える優しさを見せました。一方のフィリップも、シュラウドからの言葉をヒントにして翔太郎に策を授けて見事に復活します。そこにはふたりの強固な信頼が見て取れます。

 

最大の山場を超えた、と見せかけて話はまだ続きます。では今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #45「Kが求めたもの/悪魔のしっぽ」

大変ご無沙汰しております、松田悠士郎です。

この考察ブログもいよいよ終わりが近づいて参りました。そんな今回は「仮面ライダーW」第45話「Kが求めたもの/悪魔のしっぽ」を取り上げます。

 

「鳴海探偵事務所」を訪れた、テンガロンハットに鞭という出で立ちの轟響子は、憧れの恩人を助けたいと願っていた。その相手こそ、彼女が勤める「風都博物館」館長の園咲琉兵衛だった。彼女は勤務中に琉兵衛が加頭と話しているのを聞いたのだ。それによると琉兵衛は、発掘現場で紛失した「イーヴィルテイル」なるものを探しているらしい。亜樹子は止めるが、翔太郎は依頼を引き受けた。

 

琉兵衛は庭で飼い猫のミックを呼び、独特な合図の後にエサを与えてから、「イーヴィルテイル」捜索を指示した。

 

星降谷発掘現場に降りる翔太郎、亜樹子、響子。亜樹子のダウジングスリッパが何かに反応した。

その頃フィリップは、「イーヴィルテイル」についての検索を試みるが失敗。だが突如、フィリップの前に「ミュージアム」関連の本が現れる。フィリップはその中の「Raito Sonozaki」と銘打たれた本、即ち自分自身の事が書かれた本を手に取るが、読もうとして止めてしまう。フィリップが消えた地球の本棚に若菜が現れて呟く。

「せっかくセキュリティを外してあげたのに」

 

翔太郎達は、昔の発掘現場で「Evil Tail」と記された箱を発見する。そこにミック=スミロドンドーパントが現れて3人を襲う。翔太郎はサイクロンジョーカーに変身して応戦し、亜樹子と響子を逃がす。だがスミロドンは素早い動きでイーヴィルテイルを奪う。そこでWはエクストリームを発動するが、スミロドンの能力はフィリップが閲覧したデータを超えていた。それでも何とかイーヴィルテイルを取り返す事には成功する。するとそこへテラー=琉兵衛の声が響く。危険を感じたWはふたりと共に現場を脱出する。

 

都ホテルの部屋で、加頭は冴子に「ガイアインパクト」について尋ねる。だが冴子は答えずに寝室へ入ってしまう。

 

事務所では、照井を交えてイーヴィルテイルについて話していた。だが翔太郎が箱を開けようとすると響子が全力で拒否する。そんな中、フィリップは自分の本を読める様になったが読めなかった事を皆に告白する。翔太郎がフィリップを気遣っていると、響子が姿を消す。翔太郎と照井が響子を追う一方で、フィリップは自分の本を読む決意をする。

 

響子は博物館で琉兵衛に会っていた。琉兵衛がイーヴィルテイルを返す様に求めた所へ翔太郎と照井が来る。だが翔太郎は琉兵衛のひと睨みで恐怖に身体を震わせる。テラーの能力、それは相手の恐怖心を増幅させるというものだった。翔太郎が動けなくなった所にスミロドンが現れて響子を襲う。照井はアクセルに変身して追うが、スミロドンのスピードに苦戦する。

 

フィリップは地球の本棚で自分の本を読むが、そこに書かれた事実に衝撃を受け、事務所を飛び出してしまう。

 

トライアルに使っても、スミロドンの猛攻を受けるアクセルを、翔太郎は何故か呆然と見つめるのみ。そこへやって来たフィリップによってやっと正気を取り戻した翔太郎はサイクロンジョーカーに変身して加勢する。だがスミロドンのスピードにたいて行けない。するとフィリップが「僕に任せてくれ」と言い、サイクロンメタルに変身し、メタルロッドで琉兵衛がミックにエサを与える時に行った動きを再現した。途端にスミロドンか大人しくなった。Wはスタッグブレイクでスミロドンのベルトとメモリを破壊し、ミックをただの猫に戻す。その上でフィリップは、自分の本を読んだと翔太郎に告げる。すると、そこにテラーが現れてフィリップに言った。

「漸く己の使命を知ったな」

テラーの姿を見た翔太郎は、再び恐怖に襲われて動けなくなる。アクセルが攻撃するが、テラーは頭部を分離させてアクセルを襲い、噛み砕く。

隠れて様子を見ていた響子を、若菜が捕らえた。そこで、フィリップに関する事実が明かされる。

フィリップ=園咲来人は、12年前に死んだ。

 

以上が、今回のストーリーです。

ハッキリ言って、今回の翔太郎は全くと言って良い程良い所がありません。辛うじて、自分の本を読む事を恐れるフィリップを気遣う所にハートボイルド的な優しさが垣間見えましたが、本当にそれくらいです。

一方で、自分の事実を知って衝撃を受けたフィリップでしたが、スミロドンに止めを刺さずにベルトとメモリだけを破壊し、ミックを解放する優しさを見せました。

最終章を迎えた「W」、何だか寂しくなりますね。では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #44 「Oの連鎖/シュラウドの告白」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第44話「Oの連鎖/シュラウドの告白」を取り上げます。

 

老化した翔太郎の影響で身体が言う事を聞かなくなったファングジョーカーを圧倒したオールドは、勝ち誇った様に言い放つ。

「人は自分の幸せと同じくらい他人の不幸を願ってる」

危ない所へエクストリームメモリが飛び込んで来て、ファングジョーカーは難を逃れる。駆けつけた亜樹子と良枝の前で、オールドは今後も「老けさせ屋」を続けて恨みを持つ人の依頼を受けると言い残して姿を消す。その「恨み」という言葉に、良枝は何か思う所があるらしかった。

 

プールバーで冴子は照井を嘲笑う。「貴方の復讐は終わらない」

照井は真相を糺す為にシュラウドの元へ行った。何故自分を選んだのか訊く照井に、シュラウドは照井がオールドやテラーの様な精神干渉タイプのドーパントの攻撃に耐えられる特殊体質の持ち主だと言い、井坂にウェザーメモリを渡した事も認めたシュラウドに、照井はエンジンブレードで斬りつけるが、シュラウドはトリガーマグナムに酷似した銃で反撃する。照井はアクセルに変身するが、シュラウドは銃にボムメモリを挿してマキシマムドライブを放つ。倒れるアクセルに、シュラウドは言った。アクセルメモリとベルトは照井を鍛える為に渡したのだと。その上で、フィリップと共に究極のW、サイクロンアクセルエクストリームとなって琉兵衛を倒そうと画策したのだ。その為には現在のフィリップの相棒でえる翔太郎は邪魔、そこで後藤親子を餌にオールド・ドーパントを翔太郎にぶつけ、使い物にならなくしようとしたのだ。

照井はトライアルを使ってボムをかわし、シュラウドに蹴りを放つ。だがその脚は寸前で止まった。シュラウドは銃をアクセルにポイントしたまま、もっと憎めと照井を炊きつけようとする。そこへ、クレイドール=若菜が割って入った。シュラウドに「若菜」と呼ばれた途端、若菜は怒りを滲ませた顔で言い放った。

「気安く呼ばないで!ミュージアムを裏切り、私達家族を捨てた癖に!」

若菜の口から飛び出した「家族」という言葉に動揺する照井だったが、シュラウドを撃とうとするクレイドールを止める。興醒めした若菜は変身を解いて照井に、シュラウドの正体は自分達の母親、園咲文音だと明かす。それを認めた上でシュラウドは、「照井竜、また来なさい」と告げて姿を消す。次いで若菜も立ち去り、残された照井が目にしたのは、家族の墓前に供えられていた花と同じ花だった。

 

園咲邸で、琉兵衛は加頭に報告書を渡し、見返りに小切手を貰う。加頭が「ミュージアム」の業績アップを評価すれば、琉兵衛は「財団X」の支援に感謝の意を述べる。立ち去ろうとする加頭に毒づく若菜に、加頭は照井がシュラウドの事を探り当てたと告げる。

 

事務所でゆったり茶を啜る翔太郎にガッカリする亜樹子。その傍らでフィリップは、シュラウドが言った「究極のW」について考えていた。そこへ、老化したみゆがもうひとり老婆を連れて来た。その老婆は何と久美だった。どうやら、良枝が「老けさせ屋」の相馬に頼んだらしい。ふたりして泣くみゆと久美を、翔太郎が優しく抱いて慰めた。その目に、強い光が宿る。

児童劇団    風の子」では、良枝と光子が揉めていた。照井と共に入って来た亜樹子の仲裁を拒む良枝に、照井が「あんたは自分の憎しみをぶつけただけだ」と言い放つ。そこに、劇団の代表が割って入って許しを乞うた。

「親の子供への愛は、理屈ではないんです」

代表の言葉に打たれた良枝と光子は、変わり果てた我が子を抱き締めた。

改めてシュラウドの元を訪れた照井は、用件を訊かれて宣言した。

「俺はWにはならない。貴方を許しに来た」

「テラーに打ち勝てるのは強い憎しみ」と言い張るシュラウドに、照井は諭す様に言った。

「貴方を復讐鬼に変えたもの、それは愛だ」

その言葉に戸惑うシュラウドは、かつて琉兵衛がフィリップ=来人を道具として扱ったと言った。その琉兵衛に、シュラウド=文音はテラーの能力で全身に大火傷を負わされ、園咲家を去る羽目に陥っていたのだ。

いつの間にか来ていたフィリップを見てから、照井はシュラウドに告げた。

「今から証明してやる。オールド・ドーパントを倒し、闇の力に打ち勝つのが憎しみなんかじゃないという事を、俺達3人で」

 

工場の敷地内で、翔太郎と亜樹子が相馬と対峙していた。

翔太郎の杖攻撃に苦戦した相馬がオールド・ドーパントに変身して波動を送ろうとした所へ、フィリップと照井が到着した。3人は変身してオールドと戦う。まずアクセルがオールドを圧倒し、反撃の波動を特殊体質を活かして受け切る。そこへエクストリームとなったWかプリズムビッカーで斬りつける。仕上げはトライアルでのマキシマムドライブでのメモリブレイク。相馬は倒れ、翔太郎は元に戻った。

顛末を見届けて立ち去ろうとするシュラウドに、照井が花の事を尋ねる。シュラウドは、井坂があそこまでの怪物だとは予想しておらず、したがって照井の家族か犠牲になる事は想定外だったと言った。

「もう貴方は誰も傷つける必要は無い。俺達が園咲琉兵衛を倒す、仮面ライダーとして」

照井の言葉を受けて立ち去るシュラウド。翔太郎に促されて後を追うフィリップだが、既にシュラウドの姿は無かった。

 

加頭は、「財団X」からの使者に次世代型ガイアメモリを渡してから、傍らの冴子に言った。

「貴方のお母様、ゲームを下りたみたいですよ」

 

平和が訪れた「鳴海探偵事務所」では、何故か亜樹子が照井とイチャついていた。

 

以上が、今回のストーリーです。

前回に引き続き、老化してまともに動けない翔太郎ですが、今回は老化させられて泣くみゆと久美に対してその優しさを発揮します。ふたりをしっかりと抱きしめながら怒りの炎を目に宿すその姿は正にハートボイルドを体現していると言えるでしょう。

また、照井も今までの事を仕組んだシュラウドに最初は怒りをぶつけますが、最終的には許します。これもまた、ハートボイルド的だと私は思います。

 

いよいよ物語も佳境です。では、今日はこれにて失敬。

 

 

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #43 「Oの連鎖/老人探偵」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第43話「Oの連鎖/老人探偵」を取り上げます。

 

「鳴海探偵事務所」で、事務所の面々と照井が饅頭(照井の墓参の土産)を賞味していると、老婆を連れた女性が駆け込んで来る。照井を探偵と勘違いした女性は、娘のみゆを助けてと頼む。翔太郎が割り込んで話を聞こうとして、連れの老婆に話しかけるが、老婆は「私、おばあちゃんじゃない」と言って泣き出す。女性によれば、その老婆こそみゆ(10歳)らしい。その頃、事務所の外にシュラウドの姿が――。

 

亜樹子と照井は、みゆが所属する「児童劇団    風の子」の責任者に話を聞く。老婆になってしまった後藤みゆは、次の劇団主催舞台の主役に決まっていたらしい。そこへ、みゆと仲の良い関根久美が話しかけた。だがすぐに、迎えに来た母親の光子に遮られる。

翔太郎ほ、ウォッチャマンから「老けさせ屋」の情報を得る。何でもその「老けさせ屋」は普段占い師に扮していて、合言葉を言うと有料で憎い相手を老人にしてくれるそうだ。

「老人は海を何と呼ぶ?」「ラ・マール」

 

園咲邸で、若菜が琉兵衛にシュラウドの事を尋ねていた。琉兵衛はシュラウドを「怨念の塊」と評した上で、若菜に事実を明かす。

 

合言葉を知った翔太郎は、亜樹子に占い師を当たらせて、合言葉を言わせた。その様子を照井と共に窺うものの、なかなか「老けさせ屋」には当たらない。疲れ果てた亜樹子が見つけた手相占いの男に向かって、どうせ違うだろうと半ば諦めた気分で合言葉を言うと、男は完璧に答えた。その上で亜樹子に誰を老けさせるのか尋ねて来た。応じた亜樹子は、何故か照井の写真を見せる。そこへ、物陰で様子を見ていた照井が出て来て、男に同行を求める。嵌められたと知った男はガイアメモリを取り出してオールド・ドーパントに変身する。掌から赤い波動を出して亜樹子へ放つが、アクセルが身を挺して亜樹子を庇う。オールドはアクセルに自分の波動による効果(?)が表れない事を訝しむ。その間に、後から来た翔太郎がサイクロンジョーカーに変身、アクセルと共にオールドに攻撃する。一気に決着をつけようとエクストリームになるが、オールドは身体の前後を逆にして反撃する。Wか戸惑う間に、またしても赤い波動を放つ。正面から受けたWは急に力を失い、エクストリームが強制解除されてしまう。翔太郎の様子がおかしくなる一方で、弾き出されたフィリップは照井と共に、現場に居たシュラウドを追う。

追いついたふたりにシュラウドが、照井が特殊体質だと告げた上で言う。

「左翔太郎はもう使い物にならない。貴方達ふたりで究極のW、サイクロンアクセルエクストリームになればオールドだけでなく、園咲琉兵衛をも倒せる。その力の源は強い憎しみ」

 

事務所を訪れた真倉は、すっかり老人になった翔太郎に肩を揉まされる。そこへ再びみゆの母の良枝が訪れ、調査の進展について尋ねる。フィリップが「老けさせ屋」の事を話し、みゆが恨まれる覚えは無いか訊く。覚えが無いと言う良枝に、亜樹子は光子の名前を挙げる。だが良枝は光子を全く疑っていない。亜樹子は確かめる為に良枝と共に関根家を訪れる。その間にフィリップは検索の為に地球の本棚に入るが、そこには既に若菜が居て、必死に何かを探していた。フィリップが若菜の意図を訊くと、検索できない若菜が逆に質問した。

「シュラウドを知ってる?」

曖昧に答えるフィリップが、何故若菜がシュラウドについて調べるのか尋ねると、若菜は怪訝そうな顔で言った。

「あなた、シュラウドの正体を知らないみたいね」

それきり若菜は、失望した様子で本棚を去った。

 

ホテルのレストランで、加頭がアタッシュケースを開く。その中には大量のガイアメモリが入っていた。それを見た冴子が訊くと、加頭は「ミュージアム」を抜けたある人が作った物を元に作り上げた次世代型ガイアメモリだと答えた。そこへ照井が現れ、それを見つけた冴子は加頭に退席を促す。素直に席を立った加頭と、照井がすれ違う。一瞬の緊張の後、照井が冴子にシュラウドと園咲家との関係を問う。

 

亜樹子と良枝が関根家を訪ね、丁度久美と会った直後、「老けさせ屋」が家から出て来た。光子と親しげに話している。見咎めた亜樹子が詰め寄ると、男はオールドに変身して亜樹子を襲おうとする。そこへフィリップが現れてオールドと戦う。その間に良枝は光子を問い質した。

フィリップからの電話を何とか受けた翔太郎は、真倉を引き離す間にドライバーを出し、ひと苦労してジョーカーメモリを挿す。直後にファングが飛び込んで来て、フィリップはファングジョーカーに変身、オールドを追い詰める。

 

プールバーに場所を移した冴子と照井、冴子は照井の質問にナインボールの球で例えて見せた。

中央の9番が琉兵衛、手元の白球がシュラウド。シュラウドは琉兵衛を落とす為に周囲の全ての球を動かした。その中には照井も、照井の家族も、更にはあの井坂まで含まれていた。つまり、照井の運命もシュラウドが仕組んだと言うのだ。

 

オールドと戦うファングジョーカーだが、翔太郎に異変が起きて身体が言う事を聞かなくなってしまう。その姿を、シュラウドが見ていた。

 

以上が今回のストーリーです。 

大変遺憾なのですが、今回ばかりは翔太郎のハートボイルドもハーフボイルドも全く出て来ません。話の軸かシュラウドなので、どうしても中心に来るのがフィリップと照井になってしまうので。それに翔太郎は老化してしまいますし。これに関しては次回に乞うご期待と言う事で、今日はこれにて失敬。