ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #42 「Jの迷宮/ダイヤモンドは傷ついて」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は、「仮面ライダーW」第42話「Jの迷宮/ダイヤモンドは傷ついて」を取り上げます。

 

Wエクストリームをも寄せ付けず、その場に乱入したアクセルトライアルとナスカにもダメージを与えたジュエル・ドーパント

「もうすぐ最後の仕上げ。それで全て終わる」

そう言い残して逃走した。そして冴子も照井に「お前とは必ず決着をつける」と告げて立ち去った。

 

風都署の留置場に来た翔太郎と亜樹子に、刃野が泪達の過去を話した。彼等はかつて、この街が好きだからという理由で喧嘩に明け暮れていた。だがある日、子供達がボランティアで作った沢山の風車ごひとつ残らず壊される事件が起きた。刃野が泪達3人に事情を尋ねると、反抗する上杉の横で泪が犯行を認めて言った。

「好きになればなる程、最後には壊したくなる」

この言葉を思い出した刃野が感じた嫌な予感、翔太郎は当たっているかもと告げて立ち去る。入れ替わりに女医が刃野の前に現れた。その女医は変装した泪だった。宝石にされる事を恐れた刃野が狼狽し始めると、泪は呆れた様な顔で何もせずに立ち去った。

翔太郎が、すれ違った女医が泪だと気づき、後を追う。刃野が騙され上手だと言って説得を試みる翔太郎に、泪が叩きつける様に言った。

「私にコロッと騙されてる癖に偉そうな事を言うな!」

その言葉に、翔太郎は逃走する泪を追えずに居た。

 

本棚で検索を試みるフィリップだが、やはり若菜の妨害に遭う。フィリップをミュージアムへ連れ戻そうとする若菜は、何と本棚でクレイドールに変身、フィリップに攻撃を浴びせた。本棚から弾き出されたフィリップは、若菜のシンクロ率上昇に衝撃を受ける。話を聞いた亜樹子がフィリップに言う。

「フィリップ君は、翔太郎君と半分こだから」

その言葉に、フィリップは重要なヒントを貰って笑みを浮かべた。

事務所に上杉が現れ、明日泪と風見埠頭で会うから同行してくれと頼んで来た。亜樹子は上杉を止めるが、翔太郎は頼みを引き受ける。

 

翌日、上杉と共に風見埠頭で待つ翔太郎と亜樹子。その前に泪が姿を見せた。

一方、フィリップは再び本棚へ入る。当然若菜もきづく。傍らに居た琉兵衛も共に若菜が口にする。

「お前と来人が揃えば」「最終ステージへの扉を開く事ができる」

ふたりは同時に本棚に入った。ミュージアムへの帰還を促す若菜に、フィリップはジュエル・ドーパントの情報を見せてくれと懇願する。意地悪く、ジュエルの弱点についてのページを開いて微笑んだ若菜が、クレイドール・エクストリームに変身してフィリップを襲う。逃走したと思わせたフィリップが反転してクレイドールに向かって飛ぶ。すると、フィリップの身体がクレイドールをすり抜けた?

 

ビルの中に移動した泪と上杉達。広いスペースの窓際に立つ泪が上杉を呼ぶ。その様子に不審を覚えた翔太郎がデンデンセンサーで泪の周囲を見ると、爆弾が仕掛けられていた。慌てて上杉を避難させる翔太郎達の前で、泪が起爆センサーに触れて広間が爆発、泪も巻き込まれた?    泪に向かって謝罪の言葉を投げかける上杉を、何故か翔太郎は怪訝そうな顔で見下ろしていた。

 

事務所に戻った亜樹子はすっかり事件は解決したと思っているが、翔太郎は報告書を書く手を止めて事務所を出る。

「まだ最後の1ページが欠けてる」

 

客船に佇む上杉に、翔太郎と亜樹子が歩み寄って声をかける。動揺する上杉に、翔太郎が言った。

「あんたがドーパントだ」

上杉のみならず、亜樹子も驚く中、フィリップも現れて解説を始める。

今まで翔太郎達が見ていた、泪が変身する所はジュエル・ドーパントがダイヤの微粒子で形成した結晶のシールドによる鏡に写った姿だったのだ。その泪は、上杉に脅迫されていたと言う。その直後、死んだと思われた泪が現れて、上杉を問い詰める。

「何故約束を破ったの?」

これまでの事は全て泪の芝居で、全ては上杉の計画だったと泪は告げる。ここで開き直った上杉は本性を現した。智を宝石に変えたのも上杉なら、かつて子供達の作った風車を壊したのも上杉だった。

計画が露見した上杉は、智を変化させた指輪を投げ捨てるが、アクセルトライアルが寸前でキャッチした。実は、爆発に巻き込まれた泪を救ったのもトライアルだった。

上杉はジュエル・ドーパントに変身、翔太郎とフィリップもサイクロンジョーカーに変身して、トライアルと共にジュエルと戦う。だがジュエルの硬い身体に苦戦する。それでもフィリップは自信を持っていた。実は、本棚で若菜と対峙したフィリップは、シンクロ率50%の状態で、それ故にクレイドールには触れる事無く情報の閲覧に成功していたのだ。

それによると、ジュエルは原子結合を操作して硬い身体を手に入れているが、鉱石には特定の割れ易い方向=石目が存在するので、そこを正確に斬れば倒せるのだ。

エクストリームに変身したWが、プリズムビッカーでジュエルの石目をマキシマムドライブで斬る!

変身が解けた上杉が泪に恨めしげな目を向ける。

「お前が刃野を庇わなければ、こんな奴等を引き寄せなかった」

それな対して泪は、大事な恩人である刃野を傷つけたくなかった、と吐露する。その泪に、照井が指輪を差し出す。上杉は気を失い、メモリはブレイクされた。無事に元に戻った智が、泪と抱き合う。

 

かくて刃野の無実は証明され、今まで刃野に対して散々尊大な態度を取っていた真倉は、すっかり元の腰巾着に戻っていた。

 

以上が、今回のストーリーです。

今回も、翔太郎と刃野の信頼関係がクローズアップされました。翔太郎は、騙され上手な刃野を信じて、泪や上杉にもそれを諭します。そこには、共に刃野に世話になった者としての共感みたいな物を感じました。ジュエル・ドーパントだと思い込んでいた泪の事を疑い切れなかった事も含めて、翔太郎の根底にある優しさが見えたと思います。では今回はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #41 「Jの迷宮/猟奇的な悪女」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第41話「Jの迷宮/猟奇的な悪女」を取り上げます。

 

照井に呼び出され、翔太郎と亜樹子が風都署の留置場へ行くと、中に刃野が入れられていた。何でも、刃野は宝石を盗んだ罪で逮捕されたらしいが、それは指に大きなダイヤモンドの指輪を嵌めた女にはめられたからだと刃野本人は主張していた。尤も真倉は信用していない様だが。刃野は翔太郎に、ダイヤモンドの女を探し出す様に依頼した。

 

ふたりは聞き込みの過程で妙な噂を耳にした。怪物が人間を宝石に変えてしまうらしく、今までに若くて美しい女性ばかり7人も犠牲になっているそうだ。その現場で、例のダイヤモンドの女が目撃されている模様。

亜樹子は何故刃野が狙われたのか疑問に思ったが、翔太郎は自分との過去を引き合いに出しつつ、刃野は騙され上手だからと解説した。納得行かない亜樹子の背後にサンタちゃんが現れ、翔太郎に情報を提供する。ふたりは情報を元に、被害に遭った7人の女性モデルが会員になっていたクラブ「Blue Topaz」に赴く。電話で報告を受けるフィリップだが、若菜の事を考えていて元気が無い。

 

冴子と加頭は、エクストリームの力を得た若菜について話していた。加頭は冴子に、今の若菜にはナスカLv.3でも勝てないと言いながらも、勝率を上げるメモリの存在を示唆する。

 

「Blue Topaz」に到着したふたりだが、出入口で黒服に制止される。そかへ助け舟を出したのは、人気モデルの上杉誠だった。首尾よく入店したふたり、早速ダイヤモンドの女を見つける。だが女は近寄った亜樹子を倒し、助けに来た翔太郎を威嚇しながら後退、突如店内の照明を消した。軽くパニックを起こす来店客達の前で、女はドーパントに変身し、店内の女性達を次々と宝石に変えて行った。翔太郎はサイクロンジョーカーに変身して攻撃するが、身体のあまりの硬さに怯む。ヒートメタルやルナトリガーも通じない。ドーパントはダブルを嘲笑って姿を消す。そのドーパントの正体を上杉が知っていた。女の名は城島泪。自分の所為で変わってしまったと上杉は言った。

 

事務所に戻ったふたりはフィリップに検索を依頼する。キーワードは「硬さ」「反射」「結晶化」。だがフィリップが地球の本棚で検索をかけ終えた所へ若菜が現れた。若菜は自分のシンクロ率が上がった事をアピールし、検索しと本を掴み、更にはフィリップにも触れてみせた。動揺したフィリップは検索をやめてしまう。

 

翔太郎が風都署を訪れると、そこに上杉が現れた。真倉と照井の取り調べを受ける刃野に、翔太郎は城島泪の名前を告げる。信じない刃野だが、直後に上杉が入って来て刃野に話しかけた。どうやら上杉は刃野と知り合いらしい。刃野によれば、上杉と城島泪、それに武田智の3人はかつて「街の平和を守る」と称して喧嘩ばかりしていたそうだ。上杉は翔太郎に3人で写る写真を見せて、これまでの経緯を話した。

1ヶ月程前に、智が泪に告白したが、泪は上杉の事が好きだった。しかし3人の友情を壊したくなかった上杉は泪との交際を断った。その後、智は行方不明になったと言う。それは、泪がドーパントになった時期と一致する。

 

園咲邸に現れた加頭に、若菜が問いかける。

「お姉様は元気?」

動揺する一圭に、若菜は通告する。

「欲しい物は全て手に入れる」

 

照井と真倉は、泪が出入りする店に聞き込みをかけた。すると、今日も来店しているらしい。その時、女子トイレの中では冴子が泪に声をかけていた。

「あなたのメモリを見せてくれない?」

だが泪は冴子を倒し、踏みつける。そこへ照井達が飛び込み、泪は逃走する。真倉が泪を追う一方で、照井は冴子を引っ張ろうとする。冴子はナスカに変身して襲いかかり、照井もアクセルに変身して応戦する。泪を追った真倉で泪にひと蹴りでのされている頃、アクセルはナスカに苦戦していた。それでもトライアルで何とかナスカのスピードに対抗する。

 

お気に入りの場所に現れた泪に、翔太郎と亜樹子が接触する。立ち去ろうとする泪に写真を見せて、翔太郎は智の事を尋ねる。すると泪ほ翔太郎を蹴散らして逃走、追いかけたふたりの前でドーパントに変身した。翔太郎もサイクロンジョーカーに変身して立ち向かうが、やはり攻撃が一切通用しない。エクストリームになって、プリズムビッカーで斬りつけても傷ひとつつけられない。更にはダブルエクストリームも繰り出すが、全く歯が立たなかった。

 

刃野は留置場で、泪の事を考えていた。そこで、泪の言葉を思い出す。

「好きになればなる程、最後には壊したくなる」

 

以上が、今回のストーリーです。

今回は、濡れ衣を着せられた刃野を救う為に、翔太郎が奔走します。

普通なら簡単に見破れる嘘をあっさり信じてしまう、ある意味警察官に向いていない刃野を「騙され上手」と評して、翔太郎は無実を証明する為に動きます。そこには翔太郎と刃野の奇妙な信頼関係が窺えて、だからこそ刃野は自分の無実を証明する手助けを翔太郎に頼んだのではないでしょうか? 安易に人を見捨てない翔太郎の優しさが滲み出ていると言えるでしょう。では今回はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #40 「Gの可能性/あなたが許せない」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第40話「Gの可能性/あなたが許せない」を取り上げます。

 

Wとクレイドールを蹴散らした冴子は、ナスカメモリを直挿しした事による能力向上に酔っていた。Wはプリズムブレイクを試みるが、ナスカの攻撃に中和されてしまう。

変身を解いて、実の姉と判明した冴子に問いかけるフィリップに対して、冴子は嘲笑と共に言い放つ。

「笑わせないで、お前は物なのよ来人、家族じゃない」

ついでに若菜を威嚇して、冴子はその場を立ち去った。太刀打ちだきなかった悔しさを露に、若菜も撤退する。

「無理だ、彼女達の目を覚まさせるのは」

絶望するフィリップの傍らで、自分のカメラが倒れたウォッチャマンが絶望していた。

亜樹子は、透を何とか説得しようと、透のあいへの気持ちを引き合いに出すが、透は筆談であいへの恋愛感情を否定する。

 

ホテルのレストランで、冴子は加頭と向かい合っていた。ナスカメモリとの適合率の高さに感心し、好意を口にする加頭を疎ましく思う冴子は、散歩と称して席を立つ。

 

事務所では、亜樹子がタブレットで例の透が作った大長編映画を食い入る様に観ていた。透の心を開く為のヒントを求めていたのだ。呆れる翔太郎や、透を変えるのは無理だと言い切るフィリップに、亜樹子は撮影続行を宣言する。

翔太郎達に加えて照井や真倉も呼び、再び撮影を始める亜樹子だが、透は全く乗り気でない。荒療治が必要と判断した亜樹子は、照井を呼んで告げる。

「次のシーン、ジェシカ(あい)とカカシ(照井)のキスシーンに変更するから」

これに照井は動揺し、現場から逃走する。亜樹子は真倉に照井を捕まえる様に指示した。

 

ディガル・コーポレーションの屋上で悔しさを噛み締める若菜に、ナスカが襲いかかる。間一髪でかわした若菜はクレイドールに変身して応戦するが、力の差は歴然としていた。クレイドールは再生能力を駆使して何とか逃亡した。

社長室に戻った若菜は、遂にガイアプログレッサーを手にする。その光は、以前琉兵衛と共に見たエクストリームの光に酷似している。

 

撮影現場で、透が亜樹子に相談を持ちかけた。亜樹子は翔太郎にメガホンを押し付けて透と共に現場を離れる。最初は渋っていた翔太郎だが、次第に乗って来てレフ板を持つフィリップに注文をつけたりし始めた。

透は亜樹子を油断させて、その隙にジーンメモリを奪おうとした。気づいた亜樹子と揉めている所へクレイドールが現れ、ジーンメモリと透を攫って飛び去った。

ディガル・コーポレーション内のスタジオに透を連れて来た若菜は、ジーンの能力で自分にガイアプログレッサーを融合してくれたらこのスタジオを自由に使って映画を撮って良いと告げる。しかし、断れば命は無いとも。少し迷いながらも、透は若菜の提案を受けてジーン・ドーパントに変身、融合処置を施す。そこに亜樹子が現れて透にスリッパの一撃を浴びせて、更にクレイドールにも一発浴びせる。

「どいつもこいつも流されてばっかで、本当にやりたかった事なの?」

亜樹子は透と若菜に自分の意志を見せろと迫る。それに対して若菜はエクストリームの光を解放する。亜樹子は飛ばされそうになりながらも、透に撮影現場へ戻って皆にこの事を知らせる様に頼む。戸惑いながら、透は現場へ戻った。そこで、いつもの明るい表情で寄って来たあいに、透は突如声を荒らげてまくし立てる。

「違う!ジェシカはもっとダークなイメージなんだ!」

言い終えた後で、自分の口で言えた事に驚く透だが、次の瞬間、あいに向かって頭を下げて謝罪した。これに、フィリップも驚いていた。

ここでやっと本来の目的を思い出した透が皆に亜樹子の危機を知らせる。

ディガルに到着した翔太郎、フィリップ、照井は亜樹子を救出して3人同時に変身する。だがガイアプログレッサーと融合したクレイドールは恐ろしい程の強さでWとアクセルを寄せ付けない。Wがエクストリームに変身してプリズムビッカーで斬りつけるが全く応えない。Wはプリズムブレイクを放つが、クレイドールは即座に再生、直後にエクストリームに進化して見せた。近くで観ていた冴子も、若菜の変貌に驚きを隠せない。

 

教会で加頭と話す琉兵衛。クレイドール=土人形は、人間が神への祈りを込める器として作り出された物だと語り、その能力を極めた若菜は正に地球という神の巫女となったと誇らしげに言った。その為にWを泳がせて戦闘データを取っていたとも。更には、加頭が冴子を焚き付けた事も効果があったと平然と言ってのけた。加頭は、琉兵衛の慧眼に舌を巻く。

 

クレイドール・エクストリームは冴子に一撃を浴びせる。咄嗟にナスカに変身する冴子だが、ダメージは深刻だった。

全方位に攻撃するクレイドール・エクストリームに苦戦するWとアクセル。すると、クレイドールの放った光球が亜樹子の方へ飛んだ。それを救ったのは、何と透だった。Wはアクセルトライアルを二人の元へ向かわせ、自らはプリズムビッカーの4つのスロットに防御に向くメモリを差し、ビッカー・ファイナリージョンでクレイドールの攻撃を辛うじて防ぐ。

クレイドール・エクストリームは空に生じた時空の裂け目に消えた。若菜の新たな力を目の当たりにした冴子は、改めて逆襲を誓う。一方、改心した透はジーンメモリをWに渡す。受け取ったWがメモリを握り潰した。

 

地球の本棚で考え込むフィリップの前に、若菜が現れた。どうやらエクストリームの力を得た所為で本棚の空間に入れる様になったらしい。尤も、まだフィリップに触れる事や、本を閲覧する事はできない様だが。

「あなたは大事な家族、だから必ずあなたを救う」

本心を告げるフィリップを、若菜は嘲笑った。

「馬鹿な子。地球で一番頭が良い癖に」

 

透は、あいや仲間達と映画を撮り始めたらしい。そんな事を話している翔太郎達の前に、何故か大量のDVDを持った照井が現れて亜樹子に告げた。

「予習は充分だ、どんなキスシーンでも振り切るぜ!いや、振り切らせてください」

 

 

以上が、今回のストーリーです。

前回に続いて、今回も亜樹子のハーフボイルドなお節介が爆発します。透の気持ちを勝手に慮って映画撮影を続行し、自分の意志を見せない透や若菜を一喝して見せる。今回ばかりは完全に亜樹子が主役でした。

その一方で、フィリップも実の姉だと知った冴子と若菜を説得しようとする家族としての優しさを垣間見せます。

従って、今回は翔太郎は完全に脇でした。では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #39 「Gの可能性/バッドシネマパラダイス」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第39話「Gの可能性/バッドシネマパラダイス」を取り上げます。

 

自分の正体を知ったフィリップは、若菜の事をメモリに毒された存在として割り切ろうとしていた。そんな中、事務所に若い女性の依頼人が現れた。彼女はTジョイ風都というシネマコンプレックスに勤めている虹村あい、依頼内容は何と、身に覚えの無い主演映画がかかっているから調べて欲しいというものだった。何でもその映画、終わるまで映画館から出られないらしい。その陰にドーパントが?

早速調査へ向かった翔太郎と亜樹子だが、マネージャーが許可をしてくれない。困っている所で、異常なコミュ障の川相透と出会う。彼はどうやらあいの事が好きらしい。突っ込む亜樹子に、透は筆談で答える始末。

一方で翔太郎は「風の佐平次3D」が上映されている事を知って観たがる。亜樹子はそれを利用してまんまとふたりして館内に入る事に成功した。

 

園咲邸では、若菜が琉兵衛に来人=フィリップと戦った事を嬉しそうに報告していた。そんな若菜に琉兵衛が告げる。

「お前にプレゼントを与えよう、女王の証を」

 

翔太郎と亜樹子が「風の佐平次3D」を観ていると、急に映画の内容が変わる。それこそ、あいが主演している映画「ジェシカの彷徨と恍惚    傷だらけの乙女は何故西へ行ったのか    漂流編」だった。妙に食いつく亜樹子とは対照的に退屈を覚えた翔太郎は出口へ向かうが、出口は塞がっていた。

 

都ホテルのレストランで、冴子と加頭が食事を共にしていた。何故自分を助けるのかと訊く冴子に、加頭は事も無げに「好きだから」と答える。加頭は、若菜が責任者になってからミュージアムの業績が回復している事を挙げてから、自分自身の意志で冴子を守ると告げた。真意を測りかねる冴子は席を立つ。

 

映画の上映が7時間を超えて漸く終わった。感心している亜樹子の横で、あまりのつまらなさに怒った翔太郎が責任者を呼ぶと、ドーパントが姿を現した。逃げたドーパントは塞がった出口を植物に変化させて通り抜けた。その様子を見た翔太郎は即座にフィリップに知らせる。ドーパントの能力に興味を惹かれたフィリップは、地球の本棚に入って「壁が植物に変化」という事象からメモリの検索を始めるが、いまいち絞り切れない。そこで、「植物」を「生物」に変えて再検索すると、結果が出た。メモリの正体は「ジーン」、即ち遺伝子。生物組織に別の何かを与えて別の形に変える能力らしい。

追いかけた翔太郎の前に、マネージャーがふたり?    片方こそジーン・ドーパントの変身した姿だった。ジーンは咄嗟にポップコーンをマキビシに変化させて翔太郎を足止めして逃亡。だが翔太郎は易々と屋上で追いつき、サイクロンジョーカーに変身する。ジーンの攻撃にヒートジョーカーで対応して追い詰めるが、ジーンによって右手をぬいぐるみに変身させられてしまう。慌てる翔太郎をフィリップが宥め、ルナジョーカーに切り替えてジーンの足を払う。倒れた拍子にメモリが外れた。ジーンの正体は透だった。後を追って来た亜樹子が素早くメモリを奪い取って訊問すると、透は自身で監督・脚本・主演等全てをこなした映画を空いたスクリーンでかけていたのだ。

透の映画に魅力を感じていた亜樹子は、透を風都署に連れて行こうとするWを止める。

 

ディガル・コーポレーションでは、若菜が部下を厳しく叱責していた。傍に居た清掃員にもとばっちりがかかる。だがその清掃員は、若菜が立ち去るとゆっくり被っていた帽子を取った。その正体は冴子だった。冴子は壁に仕込んだ隠し扉を開けて、中からナスカメモリを取り出した。

 

亜樹子は自らプロデューサーとなって、透が監督であいが主演の映画を撮影し始めた。元の脚本を大幅に圧縮しつつ様々な要素を2倍増しにして「聖戦士ジェシカ」というタイトルもつけた。スタッフは翔太郎とフィリップ、照井、真倉、ウォッチャマンは出演者だ。しかし、亜樹子の真の狙いは映画撮影を通じて透とあいの仲を取り持つ事だった。

 

園咲邸で、琉兵衛は若菜にプレゼントを見せる。

有機情報制御機関試作体、ガイアプログレッサー。

琉兵衛はプログレッサーの完成の為にジーン=透の協力が不可欠だと若菜に言った。

 

スカメモリを手に入れた冴子は、意を決して自らにコネクタを打ち込む。

 

映画撮影は順調に進んでいる様に見えたが、透は「違う」と呟いて現場から離れる。あいが呼び止めた時、若菜が現れた。透を連れ去ろうとする若菜の前に、翔太郎とフィリップが立ち塞がる。フィリップは実の姉を説得しようとするが、若菜は聞き入れずにクレイドールに変身する。ふたりもサイクロンジョーカーに変身して迎え撃つ。更にエクストリームとなってクレイドールを圧倒する。そこへ冴子が現れ、若菜を嘲笑する。Wも、駆けつけたアクセルも驚く中、冴子はナスカ・ドーパントに変身してWに襲いかかる。霧彦よりも強いレベル3に達している冴子は、エクストリームのみならずアクセルトライアルも圧倒する。その戦闘で、撮影に使っていたカメラが壊されそうになるのを見咎めた亜樹子がカメラを取りに行こうとするが、それを透が止める。戸惑う亜樹子に向かって、透がスケッチブックを見せた。

「1人で撮る    ジーンを返して」

 

以上が、今回のストーリーです。

今回は亜樹子が、ハートボイルドというよりややお節介な優しさを見せます。片思いをこじらせて、ドーパントの能力を使って映画を撮る透の心情を思いやり、プロデューサーを買って出て透の思いを遂げさせようと奔走します。ただ、透にとってはありがた迷惑な様ですが。

翔太郎は完全に脇ですが、それでも自分の出生を知ってショックを受けているフィリップに対しては、相棒を気遣う優しさを見せます。

映画は、フィリップと若菜の心のすれ違いはどうなるのか?解決編へ続きます。では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #38 「来訪者X/ミュージアムの名のもとに」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第38話「来訪者X/ミュージアムの名のもとに」を取り上げます。

 

ホッパー・ドーパントと戦うアクセルは、トライアルメモリを使って追い詰めるが、寸での所で逃げられる。その一方だ、山城は園咲琉兵衛への複雑な感情を翔太郎達に吐露さていた。だがフィリップに「僕の家族を知ってるんですか?」と問われた時には曖昧に否定した。照井は山城を拘束、風都署へ連行した。

 

園咲邸では、琉兵衛と加頭が会談していた。加頭が計画の進捗状況の遅れを指摘すると、琉兵衛は対応策として前任者=冴子の更迭と後任として若菜を充てると告げる。

 

事務所で亜樹子が、翔太郎とフィリップに3人だ写真を撮ろうと強引に持ちかけ、最初は渋った翔太郎も話に乗り、フィリップを誘い出す。若菜の事で眠れない程懊悩するフィリップも応じていざ撮影、という所でバットにスタッグが激突、写真撮影は失敗する。フィリップがスタッグを取ると、思い詰めた若菜からの電話だった。前日の約束を持ち出した若菜が、午後2時にフィリップを風都駅に呼ぶ。その様子を、ミックが見ていた。

 

都ホテルの一室で、冴子が目を覚ました。傍らには加頭が居る。慌てた冴子がタブーメモリを探すが見当たらず、ドライバーは加頭が持っていて、破損していた。警戒する冴子に加頭が告げる。

「逆転のチャンスがあります、私の言う通りにすれば」

 

山城を聴取している風都署にホッパーが乱入、照井かアクセルに変身して応戦する。その間に山城は逃亡する。山城の目的は、息子に謝る事だった。山城は、息子の7歳の誕生日にミュージアムに連れ去られた為に、誕生日を祝ってやれなかった事を悔いていたのだ。

山城を追うホッパーにアクセルが襲いかかるが、ホッパーは通りすがりのOLを高所から投げ落とし、アクセルがトライアルとなって救う間に姿を消す。

 

若菜の元へ行くべきか思い悩むフィリップに、翔太郎は荘吉の言葉を引用して言う。

「これはフィリップが決める問題だ、男の仕事の8割は決断、あとはオマケみてぇなもんだ」

フィリップは、決断し切れないものの、風都駅へ向かう事にした。

 

山城は、妻と息子の住む家の前に辿り着いた。植え込みに隠れて、帰宅した息子の様子を見ていると、さこにホッパーが現れて手を下す。トライアルが駆けつけた時には既に山城は危険な状態だった。トライアルがホッパーを追った後で、山城は苦しみながら鳴海探偵事務所に電話をかけた。

 

風都駅に到着した翔太郎とフィリップ、まだ若菜は来ていない様だ。そこへ、山城からの電話を受けた亜樹子から電話がかかる。山城がフィリップにどうしても伝えたい事があるから風都中央病院に来て欲しいらしい。迷うふたりだが、駅を離れて病院へ向かった。その直後、旅支度の若菜が駅に着いた。

 

トライアルはホッパーを追い詰め、マキシマムドライブを発動して倒す。だがメモリブレイクされたホッパーは尚も起き上がる。しかし、そこへスミロドンドーパントが襲いかかってホッパーを瞬殺する。

 

翔太郎とフィリップが、亜樹子の待つ病院に駆けつけると、山城は最後の力を振り絞ってフィリップに告白する。

「君の本当の名前は、園咲来人」

直後、山城は息を引き取り、フィリップはショックを受ける。そう、フィリップと若菜は正真正銘の家族だったのだ。

病院を出たフィリップは、若菜と共に街を出ると決意し、翔太郎と亜樹子に告げる。決意の固さを知ったふたりは、フィリップを止めなかった。

「じゃあね」とだけ言って、フィリップは風都駅へ走った。

 

風都駅で待つ若菜の前に、テラー・ドーパントが現れて若菜を攫って消える。若菜が連れて来られたのは、ガイアメモリ製造工場だった。琉兵衛は若菜に施設を見せた上で、若菜に覚悟を要求する。

「お前が、ミュージアムそのものだ」

 

駅に着いたフィリップが若菜を探すと、その若菜から電話がかかる。若菜はフィリップの背後から電話をかけていて、フィリップに言った。

「来てくれたのね、来人」

若菜はその場でクレイドール・ドーパントに変身してフィリップを襲う。

 

亜樹子と共に黄昏れていた翔太郎に、フィリップか、電話がかかる。フィリップは焦った様子で「変身するよ!」と宣言する。戸惑いながらも応じた翔太郎がドライバーを装着、ファングジョーカーに変身した。そこで翔太郎はやっと状況を確認する。マスカレード達の後ろに居るドーパントが若菜だとフィリップに聞かされて驚く翔太郎。それでもマスカレード達をマキシマムドライブで蹴散らす。

クレイドールに詰め寄るフィリップに、冷たい口調で返す。

「自分の使命を思い出しただけよ」

クレイドールはWに強烈な一撃を浴びせて姿を消す。

 

屋敷に戻った若菜は、すれ違った加頭に告げる。

「これからはお父様ではなく私に言ってくださる」

 

以上が、今回のストーリーです。

今回やっと、翔太郎がハーフボイルド的な優しさを見せます。

若菜の所に行くべきか悩むフィリップを敢えて突き放して決断を促し、更に若菜と共に生きる決意をしたフィリップを、四の五の言わずに送り出します。本当は、相棒を失う事を恐れている筈なのに、フィリップの決意を尊重して送り出す所に、ハートボイルドに通じる心根を感じました。

 

自分の失われた記憶の一端を拾ったフィリップにら更に過酷な運命か待っていると思われます。では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #37「来訪者X/約束の橋」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第37話「来訪者X/約束の橋」を取り上げます。

 

鳴海探偵事務所に現れた初老の男は、翔太郎と亜樹子に生き別れた家族を探す様に依頼し、立ち去る直前にフィリップと出会い、「君、何でこんな所に?」と口走る。

 

園咲邸の食卓は、今や琉兵衛と若菜のみになっていた。琉兵衛は若菜に、ミュージアムの支援組織である財団Xから客が来る事を告げ、若菜にミュージアムの幹部としての自覚を要求して去る。

ミュージアムを追放された冴子は、追跡するマスカレード達をタブー・ドーパントに変身して撃退するが、自らも負傷してしまう。苦しむ冴子が思わず口にする。

「きっとあいつが来る、私の命を奪いに」

 

ホテルのロビーで案内を待つ白装束の男。「財団X」の加頭順である。その加頭とぶつかったゴスロリ風の女性は、イナゴの佃煮を食べていた。

 

翌日、依頼人の男が再訪した事務所で、若菜からの助けを求める電話を受けたフィリップが出て行こうとするのを、何故か止める男。だが若菜を知っているのか訊かれると途端に口ごもる。不審に思いつつもフィリップは若菜に指定された風都ハウス近くの橋へと向かう。

ウォッチャマンが、翔太郎に頼まれて得た情報を電話で伝え、立ち去ろうとするとそこへイナゴを食べるゴスロリ女性が現れる。女性は依頼人の男の写真を見せて居場所を尋ね、ウォッチャマンを襲うがそこへ照井が通りかかる。すると女性はガイアメモリを取り出して太腿のコネクタに挿す。

「ホッパー」

彼女はホッパー・ドーパントに変身して照井に襲いかかる。照井はアクセルに変身して迎え撃つが、ホッパーの動きの速さに苦戦する。トライアルへの変身を試みるが、その前に攻撃を受けて変身が解けてしまう。一敗地にまみれた照井の前にシュラウドが現れ、照井にミュージアムの事を告げる。

 

フィリップが橋に辿り着くと、再び若菜から電話。その若菜はフィリップのすぐ側に居た。ふたりは橋の上で楽しげに語らうが、その最中に若菜がフィリップに相談を持ちかける。内容は、追放された姉・冴子の事と、自分が冴子の仕事を引き継がねばならない事への葛藤だった。フィリップは若菜に、仕事の内容はガイアメモリの流通かと尋ねる。

 

翔太郎は、事務所で依頼人に家族の現在の住所を渡すが、立ち去ろうとする依頼人に疑問をぶつける。彼の名は山城諭、10年前に死んだ事になっている脳科学者だと言う。問い詰められた山城が事務所を出ようとするが、そかへ照井が現れて翔太郎の疑問を補足する。山城を含めて七人の科学者が行方をくらまし、ある組織に強制的に研究をさせられていたらしい。山城はそれを認め、その組織がミュージアムだと語る。

 

「ヒーリングプリンセス」のOAを終えた若菜に、冴子から電話が来る。冴子はミュージアムへの復讐宣言をして電話を切るが、そこへミック=スミロドンドーパントが襲いかかる。冴子はタブーに変身するが、負傷の影響でまともに戦えずに海へ落下する。ミックは冴子から切り離されたタブーメモリを回収して去った。その現場を、加頭が見ていた。

 

フィリップは園咲琉兵衛の検索を試みるが、地球の本棚がフリーズして弾き出されてしまった。照井によれば、今までにも琉兵衛の名前は捜査線上に浮かんだが、明確な関与の証拠は残っていないらしい。そこへ亜樹子が慌てて入って来る。山城が事務所から姿を消したのだ。

 

園咲邸では、ホッパーの女性と琉兵衛が話していた。そこへミックが戻り、タブーメモリを琉兵衛に渡す。それを見た若菜は衝撃を受け、部屋にこもって電話を取り出すが、通話を躊躇う。一方でフィリップも、スタッグフォンを手に逡巡していた。

 

事務所から出た山城はホッパーと遭遇するが、翔太郎に助けられる。翔太郎はその場でサイクロンジョーカーに変身する。だがそのタイミングで若菜がフィリップに電話をかける。当然、フィリップは出られない。

ホッパーに苦戦するWはエクストリームに変身してホッパーを追い詰めるが、山城を盾にされて攻撃できない。そこでホッパーが山城に言う。

「貴方が私を作ったんじゃない、それに、そいつ(フィリップ)の記憶を消したのも」

アクセルが割って入り、ホッパーと戦う一方で、変身を解いた翔太郎とフィリップが、山城に詰め寄る。

 

以上が、今回のストーリーです。

今回ハーフボイルドな優しさを垣間見せるのは、翔太郎ではなくフィリップです。

若菜のSOSに反応して橋へ駆け付け、対面で話し辛そうな若菜を見るや、目の前で若菜に電話をかけて本音を話させる。若菜への思いが滲み出たシーンでした。そのフィリップに関する重大な秘密を知る山城から、どんな事実が飛び出すのか?では、今日はこれにて失敬。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #36「Rの彼方に/全てを振り切れ」

おはようございます、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第36話「Rの彼方に/全てを振り切れ」を取り上げます。

 

凪にケツァルコアトルスメモリを挿そうとした井坂、だが凪の腕のコネクタが成長し切っていない事に動揺する。そこへWが駆けつけるが、井坂はウェザーに変身してマキシマムドライブをかわし、姿を消す。

 

モトクロス場で、シュラウドは照井に新たなメモリ「トライアル」を渡す。スピードに特化したそのメモリを使いこなす為に、シュラウドは照井にテストを課す。それは、トライアルメモリを挿したバイクでモトクロス場のコースを10秒以内に一周する事。

 

事務所に匿われた凪のメモリを調べるフィリップは、照井の存在が凪の心を完全に恐怖に落ちる事から支えていると見抜いた。だが凪はここで照井から預けられたペンダントを紛失している事に気づいた。井坂に襲われた時に無くしたらしい。探しに行こうとする凪を、翔太郎が制止する。

 

園咲邸では、冴子が井坂の髭をあたっていた。そこへ突如琉兵衛が現れ、冴子から剃刀を奪って井坂の髭をあたりながら告げた。

「思い出したよ、10年前の君を」

井坂の専横を窘める琉兵衛に、井坂はハッキリとテラーメモリを奪うと布告した。それに対して琉兵衛がテラーに変身すると、冴子がタブーに変身して井坂の盾になる。冴子もまた、琉兵衛への反逆を明確に意思表示した。テラーはタブーに問う。

「撃てるのかお前に、この父を?」

一瞬躊躇いながらも、タブーはテラーに攻撃する。テラーが攻撃を防ぐ間に、ふたりは逃走した。

 

照井のタイムトライアルは、なかなか成功しない。シュラウドは「憎しみが足りない」と照井を鼓舞する。トライアルを繰り返す照井は、遂にトライアルメモリの反動で気を失ってしまう。側で見ていた亜樹子はたまらず翔太郎に電話で助けを求める。翔太郎が対応している間に、凪はペンダントを探しに事務所を出て行ってしまった。

 

ディガルコーポレーションで、若菜が冴子を説得しようとしていたが、冴子は聞き入れず、今までに蓄積した琉兵衛への恨みを若菜に披瀝して逆に若菜に訊く。

「貴方は私の味方?それとも敵?」

取り合わない若菜に対して、冴子はタブーに変身して攻撃を仕掛ける。絶体絶命の若菜を救ったのはスミロドンドーパント=ミックだった。

 

ペンダントを探し当てた凪に、井坂が迫った。

「君の目の前で、あの男を殺す」

 

目を覚まし、再びトライアルに挑もうとする照井に、井坂からの電話がかかる。凪を拉致した井坂は、照井に4時に霧吹峠に来る様に告げて電話を切った。照井はシュラウドに次で決めると宣言し、バイクに跨がる。渾身のライディングの結果、シュラウドが発表したタイムは9.9秒。喜ぶ亜樹子に、照井が言う。

「左とフィリップにもよろしくと伝えてくれ」

凪を助けに行く照井を見送ると、シュラウドは手にしていたストップウォッチを放り出して立ち去ろうとする。それを拾った亜樹子が、液晶表示を見て目を丸くした。照井の先程のトライアル、実は10秒を切ってはいなかったのだ。シュラウドは、憎しみを捨てた照井を見捨てたのだ。

 

霧吹峠では、井坂と冴子がパラソルを立てて寛いでいた。冴子に人間らしい告白をする井坂だったが、照井の到着を知ると、去り際に冴子に言った。

「戻ったらドーパントの君ではなく、本当の君を見せてください」

杭に縛り付けられた凪の前に立つ井坂。その対面に照井。ふたりはそれぞれ変身して激しい戦闘を繰り広げる。凪はペンダントを握り締めて、その戦況を見つめる。

やはりアクセルのままではウェザーに太刀打ちできない。アクセルがトライアルメモリを取り出すと、翔太郎とフィリップと共に駆けつけた亜樹子が止めようとする。しかし、翔太郎は亜樹子を制して言った。

「いや、奴はやるさ」

その言葉通り、トライアルに転換したアクセルはそのスピードでウェザーを圧倒、最後は9.8秒でマキシマムドライブを決めた。メモリブレイク!遂に照井が宿敵を倒した。その強さに驚く井坂に、照井は穏やかな表情で告げた。

「俺を強くしたのは憎しみなんかじゃない」

照井に拘束を解いてもらった凪は、照井にペンダントを返した。

敗れた井坂が、急に苦しみ出した。メモリ過剰使用のツケが回ったのだ。今際の際に井坂は言う。全てはシュラウドに仕組まれたのだと。

井坂が消え、崩れ落ちる冴子の後ろに、シュラウドが立っていた。

 

以上が、今回のストーリーです。

今回も照井主役回なので、翔太郎の出番は少ないです。それでも、危険を犯してトライアルメモリを使う照井を信じて任せる所はハートボイルド的だと言えなくもないでしょう。

それに照井も、井坂への憎しみを乗り越えて凪を守る為にトライアルに挑み、見事に井坂を倒しました。そこには確実に、他者への思いが見えました。照井もまた、ハートボイルドに近くなっているのではないでしょうか。では、今日はこれにて失敬。