ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #38 「来訪者X/ミュージアムの名のもとに」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は「仮面ライダーW」第38話「来訪者X/ミュージアムの名のもとに」を取り上げます。

 

ホッパー・ドーパントと戦うアクセルは、トライアルメモリを使って追い詰めるが、寸での所で逃げられる。その一方だ、山城は園咲琉兵衛への複雑な感情を翔太郎達に吐露さていた。だがフィリップに「僕の家族を知ってるんですか?」と問われた時には曖昧に否定した。照井は山城を拘束、風都署へ連行した。

 

園咲邸では、琉兵衛と加頭が会談していた。加頭が計画の進捗状況の遅れを指摘すると、琉兵衛は対応策として前任者=冴子の更迭と後任として若菜を充てると告げる。

 

事務所で亜樹子が、翔太郎とフィリップに3人だ写真を撮ろうと強引に持ちかけ、最初は渋った翔太郎も話に乗り、フィリップを誘い出す。若菜の事で眠れない程懊悩するフィリップも応じていざ撮影、という所でバットにスタッグが激突、写真撮影は失敗する。フィリップがスタッグを取ると、思い詰めた若菜からの電話だった。前日の約束を持ち出した若菜が、午後2時にフィリップを風都駅に呼ぶ。その様子を、ミックが見ていた。

 

都ホテルの一室で、冴子が目を覚ました。傍らには加頭が居る。慌てた冴子がタブーメモリを探すが見当たらず、ドライバーは加頭が持っていて、破損していた。警戒する冴子に加頭が告げる。

「逆転のチャンスがあります、私の言う通りにすれば」

 

山城を聴取している風都署にホッパーが乱入、照井かアクセルに変身して応戦する。その間に山城は逃亡する。山城の目的は、息子に謝る事だった。山城は、息子の7歳の誕生日にミュージアムに連れ去られた為に、誕生日を祝ってやれなかった事を悔いていたのだ。

山城を追うホッパーにアクセルが襲いかかるが、ホッパーは通りすがりのOLを高所から投げ落とし、アクセルがトライアルとなって救う間に姿を消す。

 

若菜の元へ行くべきか思い悩むフィリップに、翔太郎は荘吉の言葉を引用して言う。

「これはフィリップが決める問題だ、男の仕事の8割は決断、あとはオマケみてぇなもんだ」

フィリップは、決断し切れないものの、風都駅へ向かう事にした。

 

山城は、妻と息子の住む家の前に辿り着いた。植え込みに隠れて、帰宅した息子の様子を見ていると、さこにホッパーが現れて手を下す。トライアルが駆けつけた時には既に山城は危険な状態だった。トライアルがホッパーを追った後で、山城は苦しみながら鳴海探偵事務所に電話をかけた。

 

風都駅に到着した翔太郎とフィリップ、まだ若菜は来ていない様だ。そこへ、山城からの電話を受けた亜樹子から電話がかかる。山城がフィリップにどうしても伝えたい事があるから風都中央病院に来て欲しいらしい。迷うふたりだが、駅を離れて病院へ向かった。その直後、旅支度の若菜が駅に着いた。

 

トライアルはホッパーを追い詰め、マキシマムドライブを発動して倒す。だがメモリブレイクされたホッパーは尚も起き上がる。しかし、そこへスミロドンドーパントが襲いかかってホッパーを瞬殺する。

 

翔太郎とフィリップが、亜樹子の待つ病院に駆けつけると、山城は最後の力を振り絞ってフィリップに告白する。

「君の本当の名前は、園咲来人」

直後、山城は息を引き取り、フィリップはショックを受ける。そう、フィリップと若菜は正真正銘の家族だったのだ。

病院を出たフィリップは、若菜と共に街を出ると決意し、翔太郎と亜樹子に告げる。決意の固さを知ったふたりは、フィリップを止めなかった。

「じゃあね」とだけ言って、フィリップは風都駅へ走った。

 

風都駅で待つ若菜の前に、テラー・ドーパントが現れて若菜を攫って消える。若菜が連れて来られたのは、ガイアメモリ製造工場だった。琉兵衛は若菜に施設を見せた上で、若菜に覚悟を要求する。

「お前が、ミュージアムそのものだ」

 

駅に着いたフィリップが若菜を探すと、その若菜から電話がかかる。若菜はフィリップの背後から電話をかけていて、フィリップに言った。

「来てくれたのね、来人」

若菜はその場でクレイドール・ドーパントに変身してフィリップを襲う。

 

亜樹子と共に黄昏れていた翔太郎に、フィリップか、電話がかかる。フィリップは焦った様子で「変身するよ!」と宣言する。戸惑いながらも応じた翔太郎がドライバーを装着、ファングジョーカーに変身した。そこで翔太郎はやっと状況を確認する。マスカレード達の後ろに居るドーパントが若菜だとフィリップに聞かされて驚く翔太郎。それでもマスカレード達をマキシマムドライブで蹴散らす。

クレイドールに詰め寄るフィリップに、冷たい口調で返す。

「自分の使命を思い出しただけよ」

クレイドールはWに強烈な一撃を浴びせて姿を消す。

 

屋敷に戻った若菜は、すれ違った加頭に告げる。

「これからはお父様ではなく私に言ってくださる」

 

以上が、今回のストーリーです。

今回やっと、翔太郎がハーフボイルド的な優しさを見せます。

若菜の所に行くべきか悩むフィリップを敢えて突き放して決断を促し、更に若菜と共に生きる決意をしたフィリップを、四の五の言わずに送り出します。本当は、相棒を失う事を恐れている筈なのに、フィリップの決意を尊重して送り出す所に、ハートボイルドに通じる心根を感じました。

 

自分の失われた記憶の一端を拾ったフィリップにら更に過酷な運命か待っていると思われます。では、今日はこれにて失敬。