ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #7 「裏街の女」

こんばんは、松田悠士郎です。

 

今回のテキストは、「探偵物語」第7話「裏街の女」です。脚本は佐治乾さん、監督は前回に引き続き澤田幸弘さんです。

 

美容師の芦川志津から、店の看板を壊した池田という男の住所と経済状況の調査を依頼された工藤は、金目当てに情報を提供して来た志津の娘の亜紀をあしらいつつ、黄金町へ向かう。尾張屋という飲み屋の主人、江原から話を聞いて池田の元に行った工藤だが、何故かその池田に襲われる。難を逃れて逃亡する工藤だったが、翌日に服部&松本コンビに池田殺しの容疑で逮捕されてしまう。

工藤逮捕を知った相木マサコ弁護士は、工藤を助ける為に黄金町の現場へ調査に向かったが、そこで尾張屋の常連4人組に襲われる。幸い、江原が止めに入って事無きを得たが、江原が現れた方向にマサコは疑問を抱く。

尾張屋で改めて4人組から事件当日の聞き込みを行ったマサコは、その中のひとり、ねずみと名乗る男から池田が事件当夜に女と会っていたという情報を得る。だがねずみは、見たのは女の手と腕時計だけで、あとは匂いしか覚えていないと言う。

マサコは志津に聞き込みをかけるがにべもなく断られる。一方の工藤も、留置場の中で池田の言動について考えを巡らせていた。

マサコは色仕掛けで服部&松本コンビを説得し、工藤との面会を果たす。工藤から経費はいくらかかっても良いと言質を取って、志津の身辺調査を始める。その上で再び尾張屋を訪れ、そこで江原が男に金を渡しているのを目撃する。その後、目当てのねずみを見つけて協力を要請、翌日再び志津を訪ねる。そこで、かつて志津と池田が同じ職場に居た事実を突きつけ、志津が池田を強請っていたのではないかと疑いを向けるが、志津は否定。そこへ現れたねずみに志津の匂いを嗅がせるが、ねずみは否定する。マサコが困っている所へ亜紀が出て来た。するとねずみが咄嗟に匂いを嗅ぎ、池田と会っていたのは亜紀だと証言する。狼狽した志津が亜紀に問い質すと、亜紀は暴言を吐いて出て行ってしまう。

後日、志津がマサコの事務所を訪れ、帰って来ない亜紀の捜索を依頼する。ここで、志津は池田が亜紀の父親だと打ち明ける。マサコは亜紀のボーイフレンドの植木に聞き込みをかけると、亜紀は産婦人科に入院していると言う。入院先に行ったマサコと志津に、亜紀は池田が父親だと知っていて、入院費用を出してもらいに行ったと告げた。

翌日、マサコは松本にボディガードを要請して、江原と共に池田の住居へ向かう。ここで金の在処を指定して江原に見つけさせ、その上で江原に推理を聞かせる。真犯人は江原だった。犯行を見破られた江原はマサコに襲いかかるが、4人組に取り押さえられる。

 

今回は、早い段階で工藤が捕まってしまい、以後はマサコがメインで話を動かすので若干毛色が異なります。

ハートボイルド的な部分を見いだすとすれば、池田の情報を提供する代わりに前金の半分を要求する亜紀に対応する場面で、散々値切って1万円まで落としてきた亜紀に千円だけ渡し、残りは情報が確かだったら払うと言って、実際に後でキッチリ9千円払う所でしょうか。どんな相手でも約束は守るという姿勢が現れている気がします。

一方、マサコは弁護士だけあって、多少強引な所はあれど誠実な仕事ぶりを見せます。亜紀の事で動揺する志津に優しく声をかける所は、マサコの人柄が滲み出ているど思います。

 

以後の話でもそうですが、このドラマは脇の設定がよくできているので、例え工藤の出番が少なくても雰囲気は損なわれないのが良い所です。

今回も「松田優作DVDマガジンVol.03」収録の映像を視聴し、「甦れ! 探偵物語」を副読本としています。では、今日はこれにて失敬。