ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #8 「暴走儀式」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回のテキストは、「探偵物語」第8話「暴走儀式」です。脚本は中島紘一さん、監督は長谷部安春さんです。長谷部さんは後に「あぶない刑事」等を監督します。

 

自動車修理工場の息子から、弟の進の捜索を依頼された工藤は、かつて進が所属していた暴走族「疾風」のメンバー恵美からの情報を頼りに、現在はロック歌手に転身している柳田高志を訪ねる。しかし高志は既に何者かに殺害されていた。工藤が目撃した、エンジンタンクに薔薇が描かれたバイクが、工藤が戻ると消えていた。

翌日、事務所に服部&松本コンビが来て、工藤を高志殺しの容疑者だと告げる。工藤は窓から脱出して逃走、恵美に協力を求める。恵美は工藤を連れて、「疾風」リーダーの次郎に進の居場所を訊くが、次郎はにべもない。

だが、直後に次郎が仕事を早退して職場をバイクで出て行った。恵美のバイクを借りて追跡した工藤が、次郎が入った店に行くと、「疾風」メンバーで店主の裕二が何処かに電話をかけていた。工藤が踏み込むと次郎は逃走、同じく逃げようとした裕二を捕まえて、工藤が電話した先を問い質すと、やはり「疾風」メンバーだった和男の経営するスナック「エルザ」だと白状する。そこへ服部&松本コンビ達が現れて、工藤を連行するが、東署に到着した直後に工藤は手錠を外して逃走、再び恵美の元を訪れる。だが恵美は工藤の代わりに進を探すと言い残して出て行ってしまう。工藤はかほりとナンシーに、バイク専門の修理工場を虱潰しに当たって進を探す様に頼む。

和男に呼ばれて「エルザ」に入った恵美を、かつての「疾風」メンバーが迎える。しかし、彼等が集まったのは、高志を殺した工藤を庇い、進を疑った恵美に「儀式」を受けさせるのが目的だった。恵美は「儀式」を受けると宣言する。

やっと進の行方を掴んだ工藤は、進の務める修理工場へ行った。そこには、エンジンタンクに薔薇が描かれたバイクを整備する進の姿があった。工藤が詰め寄ると、進は事件当夜に次郎にバイクを貸したと明かした。工藤は進と共に「エルザ」へ赴くが、店には和男しか居なかった。他のメンバーは既に「儀式」の為に空き地に移動していた。

丸腰で立つ恵美に向かって、メンバーがひとりずつバイクで突進する。それこそが「儀式」だった。恵美は1人目をかわしたものの、2人目のバイクと接触して倒れる。次に次郎が走り出した所へ、間一髪工藤と進が割って入る。仲間の前で、高志殺しの真実を明らかにされた次郎は、言い訳をしながら逃げようとするが、メンバーに阻まれる。更に、予め工藤が呼んでおいた警察も到着、追い詰められた次郎はバイクで逃走を図るが、停まっていた車に激突して炎上、死亡する。

後日、進は家に戻り、恵美は郷里へ帰った。

 

以上が今回のストーリーです。

今回も工藤の活躍はやや少なめで、その分恵美が動き回ります。なので工藤のハートボイルドな部分は残念ながらあまり見られません。強いて挙げるとすれば、進の兄からの依頼を一度は「家庭内のトラブルに関する仕事は引き受けない」原則を盾に断ろうとするが、結局引き受けてしまう辺りでしょうか。依頼人の窮状を見過ごせない優しさの発露と言えるでしょう。

 

今回も、「松田優作DVDマガジンVol.04」収録の映像を視聴し、「甦れ! 探偵物語」を副読本としています。では今日はこれにて失敬。