ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #9 「惑星から来た少年」

こんばんは、松田悠士郎です。

 

今日のテキストは、「探偵物語」第9話「惑星から来た少年」(「松田優作DVDマガジンVol.04」収録)です。脚本は宮田雪さん、監督は澤田幸弘さんです。今回も「甦れ! 探偵物語」を副読本としています。

 

工藤が易者に難癖をつけられながら貼り回ったチラシを頼りに事務所に来た少年、荻野マコトが、誘拐された姉の捜索を依頼して来た。だがやたら宇宙人の仕業だと主張するマコトを信用しなかった工藤はマコトを追い払おうとするが、逆にマコトが差し出したメダル型チョコを食べてしまって依頼を受けざるを得なくなる。

マコトが自分達の家だと主張するアパートへ行くと、そこには別の男女が居てマコトの事は知らないと応える。しかしマコトは彼等こそ姉を誘拐した宇宙人だと主張、姉の婚約者の夏八木の存在を工藤に教える。

ふたりで夏八木の家に赴くと、室内は荒らされていた。工藤は夏八木の名刺を入手して、夏八木が共同経営する会社へ向かう。そこで同僚の遠山から、夏八木が最近は香港出身のタレント、テレサジュンに密着していて、香港にまで同行していた事実を聞かされる。

次にふたりは姉が拉致された現場へ行く。その側の喫茶店に、姉のバッグが保管されていた。中に入っていた姉、京子の身分証明書から、マコトが言っていたアパートが正しい住居だと知った工藤は、マコトと共に再びアパートへ向かう。だが既に例の男女はおらず、室内はやはり荒らされていた。

夜に飯塚と三郎を見つけた工藤は、ふたりに麻薬の香港ルートについて情報を訊く。

翌日、工藤とマコトが再び夏八木の職場を訪れると、中で遠山が刺殺されていて、そこをラーメン屋の出前持ちに見られて誤解されてしまう。

東署に連行された工藤は松本の取り調べを受け、マコトは服部に事情聴取されるが黙秘権を行使する。その後、遠山の死亡推定時刻の工藤のアリバイが証明されて、ふたりは東署を出る。工藤はマコトを連れて撮影所に向かう。その後ろに、京子を拉致した連中がついて来ていた。

撮影所で工藤がテレサジュンに話を聞いている間、所内に入り込んだマコトが誘拐犯グループに拉致される。誘拐犯の車とニアミスした工藤は、後部座席にマコトの姿を見つけて追跡を始める。車内ではリーダー格の女が無線で仲間に連絡を取る。仲間の元には拉致それた京子と夏八木が居て、マコトに対して呼びかけた。夏八木が以前マコトに預けた箱(マコト曰く「アンドロメダ王女にもらったパンドラの箱」)を誘拐犯に渡さないと、ふたりとも殺されると説得すると、マコトは漸く箱の隠し場所を教えた。誘拐犯グループは、横浜ドリームランドに入った。工藤も続いて入るが、仲間にナイフを突きつけられて京子と夏八木が居るキャンピングカーに押し込める。だがここで工藤が逆転して京子と夏八木を救出する。この時に夏八木から、テレサジュンのマネージャーが香港から麻薬を密輸していた事と、マコトに預けた箱の中にはその証拠写真とレポートが入っている事を知らされる。工藤は夏八木に警察へ通報する様に指示して、自らはマコトを助ける為にドリームランドに急行する。

マコトは機転を利かせて誘拐犯から逃走、追いかける誘拐犯達を工藤が次々と退治して警察に突き出す。箱は無事に、夏八木の手に戻った。

 

以上が今回のストーリーです。

今回は、一途に姉を思う少年の為に奔走する工藤の優しさが全開になっている、ハートボイルドに相応しい話と言えるでしょう。最初はやれスペクトルマンだのバラモン星人だのと無茶苦茶な主張をゴリ押しするマコトに辟易する工藤ですが、次第にマコトを本気で心配し、姉とその婚約者を救おうと尽力します。その上で、事件もキッチリと解決して見せます。

 

余談ですが、誘拐犯グループのリーダー格を演じていたのは、昨年惜しくも亡くなられた樹木希林さんです。では、今日はこれにて失敬。