ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか？ #８「Cを探せ／ダンシングヒーロー」

こんにちは、松田悠士郎です。

今回は、「仮面ライダーW」第８話「Cを探せ／ダンシングヒーロー」を考察します。

コックローチ・ドーパントとの戦闘で、ルナメモリとトリガーメモリを奪われたWだが、何とかヒートメタルで反撃する。しかし、その２本のメモリもコックローチに奪われる。そのままコックローチの逃走を許した翔太郎は、項垂れる弾吾に食ってかかるが、その弾吾はすっかり落ち込んでいた。

「あいつとは、完全に終わった」

その言葉に、フィリップはショックを受ける。「ヘブンズトルネードは？」

探偵事務所で、弾吾は自分が依頼の手紙と現金を投げ込んだと認め、更に「闇の害虫駆除」に千鶴の事を書き込んだのも自分だと認める。

弾吾と千鶴は、一年前までは上手く行っていて、ふたりで世界を目指していた。だが、千鶴が急に水泳部に入って、弾吾と会わなくなったのだ。弾吾が理由を訊いても千鶴は「弾吾には関係ない」と突っぱねるのみだった。その所為で傷ついた弾吾が、たまたま見つけた「闇の害虫駆除」に思わず書き込んでしまったのだ。最初は本気にしていなかった弾吾だが、書き込まれた対象が実際に死んだ事で怖くなったらしい。

コックローチを見つけたい翔太郎に対して、どうしてもヘブンズトルネードが見たいフィリップは、弾吾と千鶴の仲直りのほ方法を検索し始める。

仕方なく、翔太郎はサンタちゃんに「ゴキスター」関連の情報を求める。そこでサンタちゃんが出したのが、「風都　仕置人疾る」という漫画同人誌。裏で出回っているその漫画の内容をなぞる様に事件が起こる事から、作者はゴキスターではないかと噂になっているらしい。奥付から作者を特定できないが、漫画のコマの中の風都タワーの角度から地域をある程度特定した翔太郎は、作者の住居を求めて移動する。

その住居「五木荘」のひと部屋、「伊刈」と表札のかかった室内では、部屋の主の伊刈が、霧彦と電話で話していた。伊刈はWから奪った４本のメモリを自分のコネクタで試したが、何も起こらなかったと告げる。すると霧彦は、伊刈にWを倒してダブルドライバーを奪う様に頼む。ダブルドライバーがあれぱ更に強力な仕置人になれると聞かされた伊刈は、その気になって新たな漫画を描き始める。その内容は勿論、千鶴の駆除だ。

その千鶴に、フィリップが接触した。フィリップは千鶴を事務所に連れて行き、弾吾と一緒にリボルギャリーに閉じ込める。フィリップ曰く、暗くて狭い所でじっくり話す事が男女の仲直りの最高のシチュエーションだそうだ。だが、フィリップの意図に反して弾吾と千鶴の喧嘩はエスカレートする。

翔太郎は伊刈の部屋へ突入するが、伊刈は奪った４本のメモリを持ってコックローチに変身し、窓から逃走する。目的は、千鶴の駆除だ。翔太郎はスタッグフォンにコックローチを追跡させる。だが、気づいたコックローチが粘液を発射してスタッグフォンを打ち落とす。

弾吾と千鶴の喧嘩が収まらない様子に途方に暮れたフィリップが、ふと思い立って弾吾のラジカセを取り出し、曲をかけた。すると、不意に千鶴が泣き出した。どうやら千鶴は、弾吾とふたりで更に高め合える様にと、シンクロナイズドスイミングの練習を始めたらしい。千鶴の本意を知った弾吾が謝罪し、千鶴も「寂しかった」と本音を告げた。

「もっかいやろうぜ、ふたりで」

弾吾の言葉を聞いたフィリップが、居ても立ってもいられずにふたりにヘブンズトルネードを切望した。

亜樹子の携帯に電話がかかって来た。相手が翔太郎だと思った亜樹子は、この後ウェザーサイドスクエアでふたりにヘブンズトルネードを見せてもらうと告げて電話を切る。だが電話の相手は、スタッグフォンを奪ったコックローチだった。

ウェザーサイドスクエアで、弾吾と千鶴のペアダンスが始まった。そしていよいよヘブンズトルネード、という所でマンホールからコックローチが現れる。飛ばされたマンホールの蓋が千鶴の脚に当たり、千鶴はダンスを続けられなくなる。弾吾が千鶴を守ろうとコックローチに向かって行くが、生身の人間ではドーパントに敵わない。

負傷した千鶴にしつこく「踊れる？」と訊くフィリップ。亜樹子にスリッパで殴られてもお構いなしだ。そこで千鶴が発した「せっかく、ふたりの波、掴めそうだったのに」という言葉で、閲覧できなかった「ヘブンズトルネード」の本が開いた。最後のキーワードが「波」だったのだ。

やっと到着した翔太郎をフィリップが急かして、サイクロンジョーカーに変身する。コックローチに対して、フィリップがメインになってダンスの様な動きで立ち向かい、翻弄する。Wの動きに触発された弾吾が戦闘に加わり、ふたりでコックローチに目まぐるしく攻撃を加える。そして、弾吾とWで「ヘブンズトルネード」を決めた。最後はルナトリガーに姿を変えて、トリガーフルバーストでメモリブレイクを果たした。

幸い、千鶴の脚は大怪我にはならずに済んだ。その千鶴と弾吾から手紙が来て、ふたりで出場するダンスイベントにフィリップを誘って来たが、フィリップの興味は既にそこには無かった。フィリップは、亜樹子に対して目を輝かせながら言った。

「富士山を知ってるかい？」

以上が、今回のストーリーです。

解決編である今回も、基本はフィリップと「ヘブンズトルネード」を中心に話が進みます。

その中で翔太郎は、一時の気の迷いで千鶴を危険な目に遭わせてしまった弾吾を責めずに事件を解決しようとする優しさ、というか侠気の様なものを見せていました。

この先、翔太郎のみならず、フィリップの人となりも徐々に明らかになって行きます。大いに楽しみです。では、今日はこれにて失敬。