ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #9「Sな戦慄/メイド探偵は見た!」

こんばんは、松田悠士郎です。

 

今回は、「仮面ライダーW」第9話「Sな戦慄/メイド探偵は見た!」を考察します。

 

鳴海探偵事務所に、一度に5人もの依頼者が押しかける。依頼者は家族ではないが、捜索対象である失踪者が全員パティシエという共通点を持っていた。

翔太郎の聞き込みで、失踪したのは風都の名パティシエばかりだと知れる。気乗りしない翔太郎だが、経費計上できない領収書(全てハードボイルド小説購入費)を盾に亜樹子にせっつかれる。

依頼者のひとり、浅川麻衣から、失踪した父・勇三の資料を提供してもらい、麻衣から話を聞くと、麻衣は「あのお屋敷」と口にした。

翔太郎は、刃野&真倉コンビに話を聞くが、警察でも手掛かりは掴めないらしい。そこで刃野が、一ヶ所だけ調べていない所があると言った。そここそ、園咲の屋敷だった。そこで勇三が消えたらしいのだが、琉兵衛に捜索を断られたと言う。

地球(ほし)の本棚で検索したフィリップによれば、失踪した5人のパティシエは全員、園咲家で週に一度行われるスイーツタイムにゲストとして招かれていた。そこで、亜樹子が園咲家にメイドとして潜入している事をフィリップから聞かされた翔太郎は、慌てて出かける。

その亜樹子は、潜入早々ミックに無理矢理自作の猫まんまを食わせて体調不良にさせ、その場で出会った若菜に絡んで不興を買う。

メイド長の杉下克子にこっぴどく叱られ、同僚の城塚福美と佐々木由貴子に園咲家の絶対訓「見ざる聞かざる言わざる」を聞かされても、亜樹子は懲りずに邸内の調査を始める。

亜樹子を園咲家に紹介した麻衣は、父・勇三の弟子でもあった為に今回のスイーツタイム担当パティシエとして厨房に入り、料理長の進藤から嫌みを言われながらスイーツを作っていた。そこへ亜樹子が現れて話を聞く。麻衣は、園咲家に選ばれる事はパティシエにとって名誉だと言い、父は業界の宝だとも言った。すると、窓をスタッグフォンが叩いているのに気づいた亜樹子は厨房を離れて翔太郎と落ち合う。亜樹子のスタンドプレーを非難する翔太郎だが、亜樹子から父・荘吉の事を持ち出されて返事に窮してしまう。

事務所に戻った翔太郎に、フィリップが尋ねる。

「亜樹ちゃんに真実を話さないのかい? ビギンズナイトの事を」

だが、自分の所為で荘吉を死なせてしまったと自責の念に駆られる翔太郎には、話す事はできない。

 

園咲家では、スイーツタイムが始まった。琉兵衛が出されたスイーツを褒めると、亜樹子は頼まれもしないのに麻衣を連れて来て琉兵衛達に紹介する。そこで、亜樹子も琉兵衛に覚えられるが、杉下からまた説教される。だがそこで、進藤の怪しい動きを見た亜樹子は、杉下を振り切って追いかける。

園咲家の門前で手をこまねいている翔太郎に、フィリップから連絡が入る。何と、次の標的は麻衣だと言う。雑誌のパティシエランキング上位5人から順番に消えているのだが、6位は麻衣だったのだ。翔太郎が邸内へ入ろうとする所を、霧彦が止める。翔太郎を若菜のストーカーだと勘違いした霧彦が、翔太郎の口を塞いで説教を始める。

亜樹子が進藤に近づいて問いかけると、進藤はゴルフの練習をしているだけだった。拍子抜けする亜樹子は、邸内を歩く琉兵衛を目撃して後を追うが、琉兵衛の姿は忽然と消えた。

厨房に居た麻衣が壁から飛び出した粘液に襲われ、壁の中に引きずり込まれそうになる。悲鳴を聞いた翔太郎は、霧彦を振り切って邸内に飛び込み、麻衣の危機を知るなり変身、サイクロンジョーカーで麻衣を救出、厨房を飛び出した粘液を追う。それを見た霧彦は、ナスカメモリを起動する。

正体を現したスイーツ・ドーパントと戦うWだが、粘液で手脚を固められてしまい、右側のメモリチェンジもままならない。そこで、翔太郎が左のメモリをメタルにチェンジ、メタルシャフトにバットショットを装着して震動波で粘液を破壊する。スイーツ・ドーパントを追い詰めかけた所にナスカが介入、その様子を陰から見ていた冴子が呟く。「W……」

琉兵衛は、外が騒がしいのを気にしつつ、テラーメモリを起動する。

 

以上が、今回のストーリーです。

この話での翔太郎のハーフボイルドなポイントは、亜樹子の父、鳴海荘吉の真実を話せない所です。翔太郎には、荘吉を死なせてしまった負い目があり、また実の娘の亜樹子にそんな残酷な事実を知らせるのが心苦しい為か、どうしても「ビギンズナイト」の事は言い出せません。しかしこれは、亜樹子に対する思いやり故であり、ハートボイルドにも通じるのではないでしょうか?

 

パティシエ失踪事件と亜樹子の潜入調査は、後編に続きます。では、今日はこれにて失敬。