ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか？ #26「Ｐの遊戯／亜樹子オン・ザ・ラン」

連続投稿失敬。松田悠士郎です。

前回に引き続き、「仮面ライダーＷ」第26話「Ｐの遊戯／亜樹子オン・ザ・ラン」を取り上げます。

パぺティア・ドーパントとして人形を操っていた堀之内に対して亜樹子が詰め寄ると、堀之内は激昂して再びパぺティア・ドーパントに変身して亜樹子に襲いかかる。Ｗのトリガーマグナムで阻止するも、突如発生した霧に乗じてパぺティアは姿を消す。

パぺティアを助けて診療所に連れて来た井坂は、若菜を操って欲しいと頼む。目的はパぺティアメモリの研究、と称していた。

事務所に戻った亜樹子は、動かなくなった人形を見つめてリコを心配していた。そこへ、フィリップが完成させた新たなガジェット「フロッグポッド」が現れる。このガジェットは、録音した声をあらゆる音声に変換できるそうで、その場で亜樹子の声を録って翔太郎の声に変換してみせた。そのフロッグポッドを見て、亜樹子はかつてリコと会っていた事を思い出す。亜樹子が大阪から風都へ来たばかりの頃に、人形を橋の下に落としてしまったリコと出会い、人形を助けていたのだ。その時に亜樹子は、人形と話す芝居をしていた。それも、リコに笑顔になって欲しかったから。

リコと会った公園へ来た亜樹子と、追いかけて来た翔太郎の前に、果たしてリコが現れる。だが翔太郎にはリコの姿は見えない。リコは最初に会った時と同様に亜樹子に「人形の声を聞いて」と要求するばかり。苛立った亜樹子が「人形の声なんて聞こえないの」と否定すると、リコは消えてしまう。亜樹子は思わず、人形を乱暴に扱ってしまう。そこに照井から電話がかかって来る。亜樹子と翔太郎は照井の呼び出しに応じて堀之内の自宅へ向かう。そこで亜樹子は、堀之内の娘・リカコが１ヶ月前に交通事故で亡くなっている事を知らされる。照井が亜樹子に堀之内が所有しているDVDを再生した。その中で堀之内が娘に人形を与え、娘は人形に「リコ」と名付けていた。つまり、今まで亜木子の現れていたのは堀之内の娘役ではなく、人形そのものだったのだ。ショックを受けた亜樹子は、その人形を公園へ置き去りにした事を思い出して取り戻しに向かう。だが一足違いで人形はゴミ収集車の中へ投じられた後だった。亜樹子は偶然遭遇したウォッチャマンから自転車を奪ってゴミ収集車の後を追った。

人形に対して異常に肩入れする亜樹子を不審がる照井に、翔太郎が言う。

「たとえ相手が人形でも、泣いていて欲しくないのさ」

一方、事務所に突然クレイドール・ドーパントが襲撃をかける。何とか逃げるフィリップに、クレイドールが堀之内の声で訊く。

「鳴海亜樹子は何処だ？」

堀之内の目的は、亜樹子だった。フィリップを助けに来たファングも蹴散らされるが、ガンナーＡが現れてクレイドールを攻撃する。パぺティアの呪縛が解けたクレイドールは、怒りに任せて井坂の元へ向かう。難を逃れたフィリップは翔太郎に連絡し、堀之内の目的を告げる。

やっとの事で収集車を停めて人形を救出した亜樹子に、人形が言う。

「お父さんに、泣かないでって」

そこへパぺティアが現れて亜樹子に襲いかかる。

井坂診療所に戻り、井坂を攻撃しようとしたクレイドールを、冴子＝タブーが止めるがクレイドールの異常なパワーに圧倒され、タブーが吹っ飛ぶ。

パぺティアに襲われた亜樹子を間一髪でＷ（サイクロンジョーカー）が救う。アクセルも到着してパぺティアに攻撃するが、逆にパぺティアに操られてＷを襲う。フィリップの機転で、フロッグポッドを使って攪乱し、その間にアクセルを呪縛から解く事に成功する。

メタルツイスターでメモリブレイクを果たすが、堀之内は苦しみながらも言う。

「お前達に私の苦しみは判らん、もう私を愛してくれる者は誰も居ない」

だが亜樹子が人形の言葉を伝えると、堀之内は人形を抱いて泣き崩れた。

クレイドールの威力に驚いた冴子が井坂に尋ねると、井坂は若菜のドライバーをメモリ直挿しと同じ状態になる様に改造したと告げた。ドライバーに頼る限り、メモリの本当の能力は引き出せないとも。

以上が今回のストーリーです。

前回同様、亜樹子の健気さがクローズアップされます。

他の人からすれば只の人形に過ぎない存在を「依頼人」として守り抜く亜樹子の姿に、ハートボイルドの真髄を見た気がします。

余談ですが、このエピソードを機に亜樹子と照井の距離がかなり縮まります。では、今日はこれにて失敬。