ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #22「還ってきたT/死なない男」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は前回に引き続き、「仮面ライダーW」第22話「還ってきたT/死なない男」を考察します。

 

阿久津をクルーザーごと始末したトライセラトップスドーパントの正体は、九条綾だった。だがアクセル=照井は先のフィリップの指摘によって既にその事に気づいていた。その上で、綾にメモリを渡す様に勧告するが、綾はまだ復讐は終わらないと拒否。その相手は、ガイアメモリを街にばら撒く組織だとフィリップが指摘する。それを聞いたアクセルは綾に斬りかかる! 寸での所で翔太郎がサイクロンメタルに換装して防ぐが、その間に綾は姿を消す。

 

事務所では翔太郎に詰め寄る真倉を亜樹子が追い払い、フィリップが綾を逃がしてしまった翔太郎を責める。綾を信じたい翔太郎は、照井より先に綾を見つけ出そうと事務所を飛び出す。

 

照井が署で溝口が転落死した「風吹岬」を調べていると、刃野が翔太郎にも同じ場所について訊かれたと告げる。不審を覚えた照井が署を出ると、Wのメモリの持ち主だと匂わせる相手から電話がかかる。激昂した照井が工事現場へ向かうと、頭上から大量の資材が落下して来た。

 

風吹岬に佇む綾、そこに翔太郎が現れて自首を促す。綾は敵組織の幹部に近づくチャンスを得たので明朝まで待って欲しいと翔太郎に告げて去る。

その夜、ディガル・コーポレーションを訪れた綾は冴子を組み伏せ、その場に居た若菜を牽制した上で冴子に取引を持ちかけた。その内容は、阿久津の仕事を引き継ぐ、というものだった。冴子は確かな証として、刃野の抹殺を求めた。

 

翌朝、風都署の近くに隠れて綾を待つ翔太郎と亜樹子は、綾が現れたのを見届けると食事を摂る為にその場を離れた。その後にクイーン&エリザベスと遭遇した二人は、カラオケへと目的を変更した。

 

リボルギャリーに、照井のビートルフォンが飛んで来た。不審に思ったフィリップが操作すると、綾の写真が映し出された。フィリップは翔太郎に電話をかけるが、カラオケで盛り上がっていて気づかない。仕方なく風都署へ向かうフィリップだが、玄関の立哨に止められて署内に入れない。そこへ、刃野から昆布茶を買って来る様に頼まれた真倉が出て来る。

 

その刃野は、「超常犯罪捜査課」の室内で暇を持て余している所を綾に襲われる。そこにフィリップと真倉が駆けつけるが、綾はトライセラトップスドーパントに変身して刃野を投げ飛ばす。刃野は巻き込まれた真倉共々気を失う。フィリップはドーパントの攻撃から逃れ、駆けつけたファングの助けを借りながら再び翔太郎に電話をかける。漸く気づいた翔太郎に変身を告げ、ファングジョーカーに変身する。ここで事態を把握した翔太郎は愕然とする。綾は言う。「私が復讐するのは、彼を見捨てたこの街そのもの!」

ディガルでは、冴子が若菜に「彼女、大分混じってる」と言った。綾の意識は、既にメモリに取り込まれていると冴子は見抜いていた。

ファングジョーカーと戦うトライセラトップスドーパントが、照井も始末したと告げるが、そこに傷だらけの照井が現れてアクセルに変身する。だが重傷を負っている為にドーパントに押される。加勢しようとするフィリップを、翔太郎が制する。

「これは、照井の戦いだ」

ドーパント=綾は、溝口との思い出の場である筈の風都タワーを破壊すると宣言して巨大化する。アクセルはバイクモードで追うが、パワーの差は歴然としていた。そこへ、謎のマシン=ガンナーAが現れてアクセルを救出する。突然の事態を訝しむアクセルの視界に、シュラウドの姿が見えた。事情を察したアクセルはガンナーAと合体し、ドーパントにキャノン砲の一撃を浴びせてメモリブレイクに成功する。見届けた翔太郎はカラオケへ戻った。

その後、綾が居なくなってガッカリする真倉に、亜樹子が高額の請求書を突きつけた。

 

以上が、今回のストーリーです。

トライセラトップスドーパントとなった綾を信じたい翔太郎を、フィリップが「ハーフボイルド」と切り捨てますが、この翔太郎の非情になり切れない所が、私は大いにハートボイルド的だと思います。岬で会った綾に自首を促したり、ファングジョーカーに変身して綾と対峙した時の消沈した態度に、翔太郎の優しさが滲んでいます。

対照的に見える照井も、キッチリとメモリブレイクを果たす事で綾を救っているのは多分にハートボイルド要素を含んでいると言えるのではないでしょうか?

 

翔太郎と照井、ふたりのコントラストが明確に見えた回だと言えるでしょう。では、今日はこれにて失敬。