ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #11「復讐のV/感染車」

こんばんは、松田悠士郎です。

今回は、「仮面ライダーW」第11話「復讐のV/感染車」を考察します。

 

雨の降りしきる夜、ひとりの女性が轢き逃げに遭った。

 

数日後、鳴海探偵事務所で風邪に苦しむ亜樹子を翔太郎が敬遠し、亜樹子が「馬鹿は風邪引かないから」翔太郎は大丈夫だと返し、その「馬鹿は風邪引かない」にフィリップが興味を示した時、事務所の電話が鳴った。相手の男はえらい剣幕でがなり立てながら「命を狙われてる、助けてくれ!」と喚く。

翔太郎がハードボイルダーで指定された場所に行くと、物陰から電話をかけて来た男(青木)が出て来た。すると、彼方から不気味な雰囲気をまとった外車が現れ、青木に襲いかかる。巻き込まれそうになった翔太郎は辛うじてかわすが、車は青木に向かって突進し、追突した、と思ったら青木の身体を通過した。直後、青木は全身に電撃が走った様な衝撃を受けて昏倒、死亡する。青木を殺した車は、車体に稲妻の様な模様を付けて、泣いているかの様な音を立てていた。

 

翌日、翔太郎は風都署の取調室で真倉に尋問されていた。真倉は青木を殺したのが翔太郎だと思っているらしい。そこへ刃野が入って来て、真倉にカツ丼(大盛りと翔太郎が付け足す)を要求して部屋から出すと、翔太郎に青木の死因を教える。青木は、何らかのウィルスに感染して死んだらしい。

取調室を出た翔太郎は、ロビーで亜樹子と出会う。身元引受人だと言う亜樹子に、翔太郎は今回の事件を追うと告げる。

「あの車は、泣いていたんだ」

その頃フィリップは、「馬鹿は風邪引かない」の検索に夢中だった。

 

霧彦は、ガイアメモリのセールスマン根津を呼び出し、「君が売ったメモリがひとつ無駄になった」と言って始末しようとナスカメモリを取り出す。だが根津は、そのバイラスと言うメモリに関連してアクシデントがあり、特殊な事が起きていると告げる。その言葉に、霧彦は興味を示した。

 

翔太郎と亜樹子はウォッチャマンと接触し、死んだ青木の情報を得る。青木は、黒須という男をリーダーとするストリートギャングのメンバーだった。黒須は父親が財界の大物と繋がりがあるらしく、そのツテで闇組織に武器を横流ししているという噂もあった。

その黒須に接触した翔太郎だが、手下に思い当たる節がありそうな一方で黒須本人はシラを切り、拳銃を抜いて翔太郎に突きつけた。慌てた亜樹子が無理矢理翔太郎を連れ出して何とか事無きを得たが、直後に手下のふたりが黒須の「車を確認して来い」という指令を受けて出て来た。黒須の監視を亜樹子に任せて、翔太郎はふたりを尾行した。すると、立体駐車場から例の車が出て来て、まずひとりを青木と同じ様に殺す。逃げるもうひとりを追う車を止めようと、翔太郎はダプルドライバーを出すが、肝心のフィリップは「馬鹿は風邪引かない」を解明した事に喜んでいた。変身のタイミングを逃した翔太郎は、仕方なく車の屋根に飛び乗ってしがみつく。しかしフィリップは、今度は「馬鹿は何故高い所が好きなのか?」という課題にぶつかっていた。翔太郎は呆れつつも、車の運転席を覗き込む。そこには若い男が座ってハンドルを握っていた。

車から振り落とされた翔太郎は、バットショットで運転手の写真を撮ると、フィリップを急かしてサイクロンジョーカーに変身して車の前に立ちはだかる。手下を逃がして車に立ち向かおうとすると、またしてもナスカに邪魔される。決着をつけようとジョーカーエクストリームを繰り出すが、ナスカに破られてしまう。その間に、車は手下を手にかけて走り去った。

 

フィリップによって、運転手の正体が山村康平だと判明する。康平の姉・幸が一週間前に黒須達によって轢き逃げされていて、現在も意識不明の重体である。康平は現場に居合わせて、黒須達の顔を覚えていたのだ。

道端で佇む康平に接触した翔太郎が、姉の復讐を止めさせようと説得を試みるが、康平は聞き入れずに逃走、たまたま通りかかった湯島という男に翔太郎を止めさせ、その間に路線バスに乗って逃げた。

翔太郎は、その湯島から話を聞いた。湯島は売れない画家で、時折女子高で美術を教えているそうで、幸とは女子高で知り合ったらしい。既にふたりは婚約していて、三ヶ月後に結婚式を挙げる予定だったと言う。

両親と死別した康平にとって、幸は唯一の肉親なのだと、湯島は言った。

湯島と別れた翔太郎に亜樹子が電話をかけて来た。黒須を追っていたら、廃倉庫に立てこもって武装しているらしい。すると、そこに康平の車が現れた。黒須は持っていたM60を乱射するが、車はバイラスを発現させて襲いかかる。

ハードボイルダーで急行する翔太郎に、ダブルドライバー越しにフィリップご問いかける。

「黒須を救う価値ある?」

翔太郎は堪える。

「たとえクズでもこの街の人間だ、死なせる訳には行かねぇ。それに、大切な人を失った康平の気持ちは良く判る、だからこそ、復讐なんてさせちゃいけないんだ」

フィリップはそんな翔太郎をまたも「ハーフボイルド」だと揶揄しつつ、「でも、それが君の良い所だ」と言ってサイクロンメモリを起動する。

サイクロンジョーカーに変身して、黒須を襲う直前に乱入、サイクロンメタルに変化して激突し、車を横転させる。だが康平は

バイラスの力で車を再び動かして尚も黒須を追うが、そこにリボルギャリーが駆けつける。ハードタービュラーに換装して空中に浮上するが、そこで翔太郎がウィルス感染の心配を始める。それを、フィリップが励ます。

「馬鹿は風邪を引かないから」

噛みつく翔太郎を尻目に、フィリップは右のメモリをヒートに変更、ヒートメタルで車に突進し、メタルブランディングで車を撃破する。だが、倒れた康平の周囲のどこにもメモリが見当たらない。すると、離れた所にバイラス・ドーパントが!

 

以上が、今回のストーリーです。

姉を轢き逃げされた男の復讐を軸に進む話です。翔太郎は、姉の復讐の為にガイアメモリの力を使う康平を何とか止めようと説得を試みたり、轢き逃げの主犯である黒須を、風都の住人だからという理由で助けようとします。フィリップでなくてもハーフボイルドだと感じざるを得ないでしょう。

さて、そのハーフボイルドな翔太郎の優しさが、次回にどうなるのか? では、今日はこれにて失敬。