ハートボイルドマスターへの道

小説で標榜している「ハートボイルド」という概念について深く探究する為のブログ。

ハーフボイルドはハートボイルドの夢を見るか? #2「Wの検索/街を泣かせるもの」

こんばんは、松田悠士郎です。

 

今日は、「仮面ライダーW」第2話「Wの検索/街を泣かせるもの」を取り上げます。第1話からの続きで、解決編です。

 

別のドーパントの襲撃を受けている所へリボルギャリーが到着、応戦するがドーパントには逃げられてしまう。

 

事務所に戻った翔太郎とフィリップに、訳の判らない事の連発を食らった亜樹子が詰め寄る。亜樹子に「半分こ怪人」と呼ばれた姿を「あれはダブルだ」と説明する翔太郎は、ラジオから流れて来たニュースに気を取られる。ラジオが伝えたのは、マグマ・ドーパントこと戸川陽介が死体で発見されたというニュースだった。

戸川死亡を知った、依頼人の津村真里奈は翔太郎の前で泣き崩れる。そんな真里奈に、翔太郎は謝る事しかできずにいた。

真里奈は、子供の頃に翔太郎が言った台詞を思い出していた。

「この街は俺の庭だ。そこで誰ひとり、泣いてて欲しかねぇんだ」

情報屋のウォッチャマンに情報収集を依頼した翔太郎は、1週間前の事件現場に入り込む。だがそこで例のドーパントTレックスの襲撃を受ける。スタッグフォンとバットショットを駆使して難を逃れた翔太郎は、付近にあった衣服のデザインに注目する。そこにウォッチャマンが現れて、死んだ戸川がガイアメモリの売人と接触していたという目撃情報をもたらす。その売人は、黒いスーツに白いスカーフ(1点血が滲んだ様な模様付き)を巻いた男らしい。その時の客は戸川ともうひとり居た様だが、目撃者からは陰になって見えなかったそうだ。

その売人は、別の場所で初老の男にガイアメモリを売っていた。「私は超人になれるんだろうね?」と訊く客に対して、売人は答える。「どちらかと言うと神に近い」

園咲家では、冴子の結婚相手の話題で持ちきりだった。

 

翔太郎は、Tレックスドーパント、即ち戸川陽介殺害犯の名前を割り出す為に、フィリップに「地球(ほし)の本棚」での検索を要求する。ヒントとなるキーワードは、以下の3つ。

①WINDSCALE

②羽根

③女

導き出された答は、「MARINA TSUMURA」、津村真里奈だった。

真里奈も元WINDSCALEのデザイナーで、WINDSCALEを恨む理由があったのだ。

最初の犯行は真里奈と戸川の共犯だったが、それ以降はガイアメモリの力に溺れた戸川の暴走で、真里奈は邪魔になった戸川を始末したのだ。

ここで、翔太郎の心の内を見抜いたフィリップは「食われてしまうかもね」と警告するが、翔太郎はそれでも真里奈を信じたいと返す。するとフィリップが疑問を呈し、翔太郎を「煮え切らない半熟卵、ハーフボイルドだ」と揶揄する。怒った翔太郎はフィリップを殴り、責める亜樹子に構わず自分のメモリを置いて「お前の手は借りねぇ」と言い捨てて出て行った。

 

スタジアムの客席に佇む真里奈。彼女のバッグをスタッグフォンが切ると、中からTレックスのメモリがこぼれ落ちた。慌ててメモリを拾う真里奈の前に翔太郎が現れて、真実を突きつける。その様子を、亜樹子が見ていた。

真里奈は自分がTレックスドーパントだと認め、かつて「WINDSCALE」に居た頃に自分の仕事や功績を全て奪った重役が許せないと告げた。その上で真里奈は翔太郎に見逃して欲しいと懇願するが、周囲は既に警察が包囲していた。翔太郎が、真里奈に言う。

「お前は、この街そのものを泣かしてる」

翔太郎に出頭を勧められた真里奈は、本性を表して不敵に笑い、Tレックスドーパントになって警察と翔太郎に襲いかかる。居合わせた亜樹子も巻き込まれる。絶体絶命のふたりを救ったのは、リボルギャリーに乗って来たフィリップだった。リボルギャリーから降りたフィリップが、右手を差し出しながら翔太郎に問いかけた。

「僕は何故殴られたんだい?」

翔太郎が答えずに手を握り返して立ち上がると、フィリップは翔太郎にメモリを渡した。「半分力貸せよ、相棒」

ふたりはダブルドライバーでサイクロンジョーカーに変身した。気を失ったフィリップの身体を亜樹子に託して、サイクロンジョーカーはTレックスを戦う。いきなりフィリップの身体を託されて困り果てた亜樹子は、仕方なく近くに停まっていたパトカーに乗り込む。

Tレックスは、付近の瓦礫を自らの身体に吸着させて巨大化する。その際に亜樹子達が乗ったパトカーもワイヤーで繋がってしまう。気づかない翔太郎とフィリップは、サイクロンメモリをヒートメモリにチェンジ、ヒートジョーカーになってTレックスに攻撃を加える。Tレックスはパトカーを引きずって逃走、ヒートジョーカーはハードボイルダーで追跡する。ここでパトカーに亜樹子とフィリップの身体が居る事に気づいた翔太郎が、まずフィリップの身体をリボルギャリーに投げ込むが、亜樹子を助けようとした所でTレックスがビルに上ってしまい失敗する。一旦リボルギャリーに入り、ハードボイルダーの後部を飛行ユニットに換装して(ハードタービュラー)Tレックスを追い、ヒートメタルにチェンジしてメモリブレイクし、サイクロンジョーカーになって真里奈と亜樹子を無事に救出する。

 

園咲家には、冴子の婚約者でガイアメモリのトップセールスマン、須藤霧彦が訪れていた。冴子=タブー・ドーパントと、若菜=クレイドール・ドーパント、ミック(猫)=スミロドンドーパントが見守る中で琉兵衛=テラー・ドーパントからガイアメモリを受け取った。

 

翔太郎とフィリップが、今回の事件をまとめていると、亜樹子が現れた。その手には新たな「鳴海探偵事務所」の看板を手にしている。だがその看板の隅には「所長・鳴海亜樹子」と記載されていた。

 

以上が、今回のストーリーです。

この回で初めて、フィリップの口から「ハーフボイルド」という言葉が出ます。ラストには亜樹子も使いますが、当の翔太郎は当然気に入りません。ですが、このありがたくないニックネームは徐々に浸透します。

フィリップに揶揄された翔太郎の「ハーフボイルド」っぷりは、事件の主犯だった真里奈(=Tレックスドーパント)に向けられます。

恋人の戸川と共謀して、ガイアメモリを手に入れて憎い重役への復讐の為に事件を起こし、更には力に溺れて暴走した戸川を冷酷に始末した真里奈に対して、ギリギリまで更生を願った翔太郎の優しさは、確かに「情に流される事無く行動する鉄の男」とは程遠いですが、そこが翔太郎の良い所でもあるのではないでしょうか。その優しさは、メモリブレイクの後に真里奈を助けた所にも表れています。そんな翔太郎に協力するフィリップも、また優しさを秘めています。やはり、「ハートボイルド」に近しいメンタリティを感じずにはいられません。

 

最初の事件を無事解決したふたりですが、能力の全てはまだ見せていません。今後のお楽しみです。では、今日はこれにて失敬。